自動車業界はやめとけ?その理由と今後の動向などについて徹底考察
近年「自動車業界はやめとけ」や「自動車業界はやばい」という言葉を聞く機会が多くなりました。
現在、自動車業界は日本の基幹産業の一つであり、日本の売上高ランキングにおいてトヨタが全企業中トップであるなど、市場規模も大きい業界です。
そんな自動車業界に対してこのように言われる理由はなぜなのか。今後の動向なども一緒に解説していきます。
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自動車業界への転職はやめとけといわれる理由
自動車業界は先にも述べた通り日本を支える基幹産業の一つです。
では、そんな自動車業界はなぜやめとけと言われるのか?その理由は大きく以下の4つです。
自動車業界への転職はやめとけといわれる理由
- 業界全体が衰退しているといわれているから
- 自動車業界が大きく変化しているから
- 販売台数が減少している
- 労働環境が厳しいというイメージ
業界全体が衰退しているといわれているから
近年、「自動車業界は衰退している」と表現されることがあります。このように言われる原因として、日本のEV化対応の遅さが挙げられます。
世界的な脱炭素社会の実現に向けた意識強化に伴い、近年ではEV車の購入割合が欧米などを中心に増加傾向にあります。下の図は自動車の世界シェアを獲得している諸国のEV販売シェアについての図になります。
世界各国のEV販売シェアに関する図
参照:Global EV Data Explorer
この図からも現状日本はEV化の波に乗り遅れていることが伺えます。日本企業のEV車の売上がほかの国と比べても低い状況にあります。
このような状況に対し、現在日本では「2035年までの新車販売の100%電動車化の実現」に向けてEV車の開発を進めています。
この日本におけるEV化の問題に関しては、後ほど詳しく解説します。
自動車業界が大きく変化しているから
自動車業界は「100年に一度の変革期」に入っていると言われています。
近年、消費者行動の変化や環境問題への適応があらゆる業界で必要となっており、自動車業界もその一つです。そのため自動車業界は、今までの体制を大きく変えてこのような変化に適応しようとしています。例えば、環境負荷削減のためのEV車の導入や、シェアという新しい概念の導入などが挙げられます。
このような大きな変化に対して、業界への今後の見通しが立たない・業界が安定していないというイメージが業界にあることがやめとけといわれる原因の一つになってます。
しかし最近では、CASEという今後の自動車業界の課題に関する考え方が提唱されています。日本企業もこのCASE実現に向けた取り組みを進めています。そのため、以前と比べ自動車業界の今後への見通しが立てやすくなっています。
なお、CASEに対する日本の取り組みなどについて、後ほど詳しく解説します。
販売台数が減少している
主要国の四輪車販売台数推移
自動車業界の最近の問題の一つに新車販売台数が減少しているということがあります。上の図は主要国の四輪車販売台数推移になります。この図からも読み取れるように、日本における新車販売台数は減少傾向にあり、2022年では新車販売台数が前年よりも5.6%減少しています。
しかし、世界的にも減少傾向にあり、同年にアメリカでは7.6%減少、ドイツでも0.4%減少となっています。また、コロナ禍を明けて2023年以降は徐々に増加傾向に転じており、今後の伸びにも期待できるといえるでしょう。
労働環境が厳しいというイメージ
自動車業界と聞くと「労働時間が長い」や「仕事内容がきつい」を想像する方もいるでしょう。そのような激務のイメージもやめとけと言われる理由の一つといえます。
この問題に対し、企業側もワークライフバランスを取るための「はたらき方改革プログラム」の推進や、労働環境の改善に関する企業独自のシステムの導入なども進んでいます。
例えば、日産では「Happy 8」という働き方改革の導入、本田技研工場の「ノー残業デー」や「有給カットゼロ運動」などが挙がります。
しかし、これらの企業の取り組みは企業間で大きく異なります。そのため、自分に合ったはたらき方ができる企業かどうかを確認したうえで働き始めるべきでしょう。
自動車業界は今後どうなる?将来性は?
ここまで、自動車業界はやめとけといわれる理由について言及しました。
本当にやめとくべきなのでしょうか?
結論から言ってやめる必要はないと考えます。むしろ今後は、自動車業界は次に示すようなトレンドに沿って成長していく可能性がある業界であると言えるでしょう。
ここでは、そんな自動車業界の今後を左右する2つのトレンドについて紹介します。
自動車業界の今後を左右する2つのトレンド
- CASE実現に向けた技術革新
- MaaSという新しいビジネスモデル
CASE実現に向かって技術革新が起こる
現在自動車業界では「CASE」というものがトレンドになっています。CASEとは、「Conected」、「Autonomous」、「Shared&Services」、「Electoric」という4つの言葉の頭文字をつなげたものです。
具体的にはどのような内容なのかについて見ていきましょう。
Conected(コネクテッド)
この考えは車両とインターネットをつなげることで、外部とのデータのやり取りを可能にするというものです。
具体的には、渋滞情報や盗難時の車両追跡、動画配信サービスの利用など多岐にわたる情報の取得を自動車の利用中に行うことができるようにします。このように近年の自動車業界では、車を「IoT化」させていくことで自動車の利用をより快適にすることを目指しています。
このサービスを搭載した自動車も最近見かける機会も増えてきました。このサービスは、AIの発達や新たなサービスの開拓に伴いまだまだ成長見込みがあるといえます。
Autonomous(自動運転化)
自動車業界の課題の一つである「自動運転化」がCASEのAに当たる部分です。
自動運転化に関しての到達度に関して下記の図のようにレベル1〜5までの5段階に分割されており、このレベルを上げていくことが今後の課題の一つになっています。
自動運転化の実現は、無人タクシーや無人配送などの新たなサービスの創出、移動時間を有効に使うことができるようになるなど、「移動」という概念に改革を起こす要因になるといえます。
日本は、自動運転化実現に向けた取り組みをリードする国の1つとなっており、2024年1月時点では、市販車においてレベル3までの実現に成功しています。
現在、日本では2025年を目途にレベル4の実現を目標に開発を進めています。また、欧州においては2030年代にレベル5の実現を目標としているなど、自動運転化はそう遠くない未来に実現されるといえそうです。
出典:国土交通省 「自動運転に関する取り組み進捗状況について」
Shared&Services(シェアリング&サービス)
近年の自動車の所有に関する価値観の変化に伴い、新たに「シェアする」という考え方が浸透してきています。
「カーシェアリング」などのサービスは、自動車を普段利用しない方や短時間の利用をしたい方などがレンタカーよりも気軽にかつ安価に利用できるという点で利点があります。
下の図のようにカーシェアの会員数・貸渡車両数ともに増加しており、2022年と比較して2023年では貸渡車両数が約8.6%増となっています。
このような「シェアする」という新しいサービス体系が今後も自動車業界を主導するサービスの一つとなっていくでしょう。
Electoric(電動化)
最後にCASEのEは電動化です。
世界中で実現が目指されている「脱炭素社会の構築」に対して、自動車の電動化はその取り組みの一つとして進められています。特に海外ではEVへのシフトが急速に進んでおり、特にヨーロッパでは2035年にはすべての自動車の完全EV車化という成長戦略が掲げられているほどです。また、各国の電動化に関する目標は以下のようになっています。
出典:経済産業省 「自動車分野のカーボンニュートラルに向けた国内外の動向等について」
日本でも電動化を進める取り組みをしていますが、その進捗は海外に比べると遅れを取っている状況です。そのため、電動化は今後の日本の自動車産業において最重要事項の一つと言えます。
新たなビジネスモデル「Maas」
Maasとは、旅行などの際に自動車の予約だけでなく、その他の移動サービスについても最適な組み合わせで同時に検索・予約・決済まで一括で行うことができるサービスおよびビジネスモデルを指します。
例えば、旅行先に行くための新幹線の予約とレンタカーやカーシェアの予約を、最適な組み合わせで一括で行うことができます。移動手段の最適化は交通の利便性の向上につながり、それにより移動が制限される地方の高齢者や外国人観光客への観光需要を高めることができると考えられています。
また、移動の最適化は「交通のムダ」を減らすことにつながるため、環境負荷の削減・交通渋滞の解消などに対しても効果が得られるでしょう。
今後はホテルやレストランも一括で予約できるサービスや、まちづくり政策などと一体化したサービスの実現に向かっていくことが予想され、まだまだ可能性が未知数なビジネスモデルであるといえます。
今後の日本の自動車業界に求められるものとは?
これまで自動車業界はやめとけといわれる理由やトレンドについて確認して来ました。
ここからは、世界規模ではなく日本の自動車業界が今後求められると考えられる点について紹介します。
電動化の促進
日本の自動車業界において今後求められるものとして大きな要素を担うものとして、EV化の促進が挙げられます。
現在、日本の自動車業界の最大手であるトヨタの販売台数のうち、約81%が海外向けに販売されています。(2024年4-6月期)
また、先にも紹介した通り、ヨーロッパやアメリカの一部地域では2035年までの完全EV化を目標としています。そのため、日本の自動車が世界でシェアを取り続けるためには、日本でもEV化はいち早く進めるべきでしょう。
日本での取り組みとして具体的に、電動車の航続距離や充電速度の改善といった性能面の向上に加え、政府による電動車の購入補助を行うといった取り組みがなされています。
また、日本でのEV化の促進は、日本が掲げる2050年までのカーボンニュートラルの実現に大きく近づけることができます。これの達成は世界での日本の立ち位置を示すことにつながるため、その面においても日本におけるEV化は重要になってくるでしょう。
IoT化・自動運転化の促進による性能の向上
自動車業界においてIoT化や自動運転化は欠かせないものの一つといえます。
自動運転化の促進は、事故発生を防ぐことや、自動配送サービスや自動運転タクシーなどの新たなサービスを提供することを可能にします。このサービスの拡大は、自動車需要の向上につながるとともに人々の生活もより豊かにすることができます。
また、IoT化による自動車の走行や渋滞情報に関するデータの取得は、自動車の危機感知や渋滞回避・駐車場の空き情報の取得など、運転のしやすさ向上につながります。このような「製品の使いやすさ」の面で海外企業の自動車との差別化を図っていくことは、日本の自動車の世界シェアの拡大につながるでしょう。
新たなるインフラの整備
EV化やIoT化、自動運転化に伴い、今後自動車業界で必要になるものが今までとはガラリと変わるでしょう。
この変革に対して適応していくためにインフラの整備ということも大きな課題の一つです。
特に日本では、EV車の充電のためのステーションを増やすことやビックデータを管理するための基盤の整備などの取り組みが現在なされており、今後もこれらの促進が必要になるでしょう。
このような今後の変化に伴い必要不可欠となるインフラの整備を進めることは、今後の自動車業界に確実に必要になると言えそうです。
日本の自動車業界はまだまだ成長過程にある!
自動車業界において、新車販売台数が減少していることやEV化が世界よりも遅れているという事実はあります。
しかし、その減少は世界的なものであり日本に限ったことではありません。この変化に対応するために新たなサービスの創出や製品の使いやすさの向上に取り組んでおり、まだまだ日本を含め自動車業界は成長の見込みがあります。
またこの変革期は、EV化や自動運転化の促進をさらに進めることで世界のシェアを拡大する可能性を大きく孕んでいます。
自動車業界への転職におすすめのエージェント
自動車業界に向いている人の特徴
最後に、自動車業界に向いている人の特徴について紹介します。
グローバルな視点を持っている人
自動車業界では、国内のみならず海外の市場にもターゲットをおいています。
そのため、海外企業の方や海外の顧客とのコミュニケーションが生じることがあります。そのような際に、海外の方との円滑なコミュニケーションが可能である人は自動車業界ではその力を発揮することができます。
また、コミュニケーションのみならずメールや文書でのやり取りも生じることもあるため、語学力も貴重なスキルになります。
チームプレー・コミュニケーションが得意な人
自動車業界には多種多様な職種・業種があります。そのため、自動車業界では異業種間の交流が多く、他職種・業種との連携という点でコミュニケーションスキルは自動車業界において重要になります。
業種間はもちろんのこと、チームで大きなプロジェクトを進行したり、長期間のチームでの研究開発を行うなどチームプレーの力も大きく役に立ちます。
こだわりが強い人
自動車業界においてこだわりが強いということはプラスにはたらきます。
日本の自動車が評価されている理由の一つに製品が高品質であるというポイントがあります。こだわりをもって自動車をよりよくして行こうという志は、このような高品質な製品の生産につながるといえます。
「100年に1度の変革期」においても新しいものを高品質で提供することは重要になると考えられるため、こだわりが強いという点はプラスになるといえます。
チャレンジ精神が旺盛な人
現在の変革期の渦中にある自動車業界において、チャレンジ精神は重要になると言えます。
変革期を乗り越えるためには、変革をしていくための研究・開発などが必要になります。研究・開発においてチャレンジ精神を発揮することで、思わぬ発見や成功につながる可能性があります。
変革期だからこそ選択肢に!
今回、自動車業界が現状抱えている課題を解決し、さらに発展しようと変化していることについて紹介しました。
自動車業界が今、このような大きな変革期にあるからこそ、今までにはなかった職種や業種も現れてきています。そのため、今まで以上に幅広い選択肢を得られるとともに、あなたのスキルを生かせる可能性も広がったといえます。
マイナスな言葉も多く出ている業界ですが、今回紹介したように伸びしろも多くあると言えるため、転職する業界の選択肢の一つとして検討してみてください。
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