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POSTED
2023年12月5日
UPDATE
2024年3月5日

五大(四大)法律事務所とは?年収・労働時間・学歴を口コミと共に解説

弁護士

日本の法律事務所の中で圧倒的に規模が大きい事務所が5つあり、「五大法律事務所」と称されています。
案件も待遇も国内最高峰の環境で、弁護士なら誰もが憧れる五大法律事務所。

この記事では、

  • 五大法律事務所の特徴・他事務所との違い
  • 各事務所の得意領域
  • 年収・職場環境
  • 転職に必要なスキルや経験

について解説します。

五大法律事務所について知りたい方はぜひ最後まで読んでみてください!

五大法律事務所とは?他の法律事務所と何が違う?

五大法律事務所とは、日本の法律事務所のなかで所属弁護士数が多い上位5つの事務所のことを指します。
以下がその5つの法律事務所です。

  • 西村あさひ法律事務所
  • アンダーソン・毛利・友常法律事務所
  • 長島・大野・常松法律事務所
  • 森・濱田松本法律事務所
  • TMI総合法律事務所

かつては「四大法律事務所」と呼ばれていましたが、TMI総合法律事務所の弁護士数が増加してきたため、今では「五大」と呼ばれています。

最大の特徴は、どの事務所も弁護士数が500人を超えているということです。
日本の法律事務所の93.65%は1〜5人規模です(2022年5月31日時点)。したがって、五大法律事務所は人数が突出して多いことが分かります。(※)

そして、抱える案件が多い&幅広いということも特徴のひとつです。
多数の海外拠点を含めたグローバルネットワークを活かして、企業法務案件・国際案件を多く扱っています。
加えてマンパワーがあるからこそ、中規模事務所では扱えない大規模案件もワンストップで扱うことができます。

日本最高峰の案件に携われる環境であることは間違いないでしょう。

(※)弁護士白書(2022年度版)

各事務所の特徴や得意領域を比較!

西村あさひ法律事務所

弁護士数857名
所在地〒100-8124
東京都千代田区大手町1-1-2 大手門タワー
拠点東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、バンコク、北京、上海、ドバイ、フランクフルト/デュッセルドルフ、ハノイ/ホーチミン、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、ニューヨーク、シンガポール、台北、ヤンゴン
得意領域銀行・金融、独占禁止法・競争法、コーポレート・M&A、不動産取引など
公式サイトhttps://www.nishimura.com/

西村あさひ法律事務所は、国内最大手の法律事務所で、857名もの弁護士が在籍しています。

多くの法律分野で高品質なリーガルサポートを提供しており、海外展開にも積極的で国内外に幅広いネットワークを持っています。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所

弁護士数641名
所在地〒100-8136
東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング20階
拠点東京、大阪、名古屋、北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ、ロンドン
得意領域銀行・金融、キャピタルマーケット、独占禁止法・競争法、紛争解決など
公式サイトhttps://www.amt-law.com/

アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、国際案件が豊富で五大の中でも海外クライアント比率が高いという特徴があります。

国際・国内企業法務分野で多数の受賞歴を誇っています。

長島・大野・常松法律事務所

弁護士数565名
所在地〒100-7036
東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー36階
拠点東京、シンガポール、ホーチミン、ジャカルタ、ニューヨーク、バンコク、ハノイ、上海
得意領域銀行・金融、キャピタルマーケット、紛争解決、保険法など
公式サイトhttps://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、特にファイナンス領域において高い評判を持っています。

企業法務分野での豊富な経験と専門知識をもとに、企業のビジネス成長を支えています。

森・濱田松本法律事務所

弁護士数567名
所在地〒100-8222
東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内パークビルディング16階
拠点東京、大阪、名古屋、福岡、高松、札幌、北京、上海、シンガポール、バンコク、ヤンゴン、ホーチミン/ハノイ、ジャカルタ、ニューヨーク
得意領域コーポレート・M&A、銀行・金融、独占禁止法・競争法、紛争解決など
公式サイトhttps://www.mhmjapan.com/

森・濱田松本法律事務所は、M&Aや争訟・紛争解決などに強みを持っています。

特に争訟・紛争解決は前身である森綜合法律事務所の時代から有名であり、外部からも高い評価を受けています。

TMI総合法律事務所

弁護士数678名
所在地〒106-6123
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー23階
拠点東京、名古屋、大阪、京都、神戸、福岡、シリコンバレー、ブラジル(デスク)、メキシコ(デスク)、上海、北京、ハノイ、ホーチミン、ヤンゴン、バンコク、プノンペン、シンガポール、フィリピン(デスク)、マレーシア(デスク)、インドネシア(デスク)、ロンドン、パリ、ケニア(デスク)
得意領域知的財産、コーポレート・M&A、紛争解決、銀行・金融など
公式サイトhttps://www.tmi.gr.jp/

TMI総合法律事務所は、平成期に入り規模が拡大し弁護士数が急増した法律事務所です。

特にベンチャーと知的財産案件に強みを持っており、弁理士も多く所属していることが特徴です。

【弁護士平均の倍以上!?】五大法律事務所の年収

五大法律事務所の平均年収は以下の通りです。

入所後の年数平均年収
1年目1,000万円~2,000万円
3年目1,300万円~1,500万円
5年目1,600万円~2,000万円以上

五大法律事務所では、1年目から年収1,000万円を超えることが一般的です。
その後は、勤務年数が長くなり役職が上がるにつれて年収も上がっていきます。

法務省・日弁連・最高裁が実施した調査によると、弁護士1年目の平均年収は568万円(平成27年)となっております。(※)

それと比較すると、五大法律事務所は弁護士平均の倍以上の給与水準であるといえます。

給与面については、所属する弁護士はあまり不満を抱いていない印象。1200万スタートで、毎年ベースが50万ずつ上がるのと、ボーナスが3年目終わったくらいで大きく跳ねる。評価がいい人だと5年目か6年目くらいで2400万〜2500万とかまで上がり、そこからはパートナーにならないと上がらないとのこと。

出典:西村あさひ法律事務所の口コミ・評判

法曹の収入・所得,奨学金等調査の集計結果(平成28年7月)

【口コミ】五大法律事務所はブラックなのか?職場環境について

五大法律事務所は企業法務案件がほとんどであり、海外クライアントを相手にする国際案件も多く扱っています。そのため、時差の関係で深夜にクライアントとの打ち合わせが入ることもあります。
また、他事務所に比べて案件数も多く、大体が重めの案件です。したがって、業務は非常に多忙であるといえます。

その上で常に結果が求められる世界のため、想像以上に体力や精神力が必要とされる環境でしょう。

激務さ・労働時間について、以下のような口コミがあります。

金曜夜に仕事を振られ、月曜朝までこなさなければならないことがザラにある。そのため、土日に予定を入れたりすることが難しい。この事務所で働く限り、土日に旅行に行ったりすることは不可能。
一年に5日の休暇を与えられるが、休暇中も働いている人も多く、名ばかりの休暇。
生活の全てを捧げるつもりでなければ、働くことは難しい。

出典:西村あさひ法律事務所の口コミ・評判

(忙しさ)
めちゃめちゃ忙しい。
一応月の稼働時間が一定の時間を超えると新件を受任できなくなるというルールはあるが、月300時間の稼働を超えることもまれにあり、年間4000時間近く働く人もいる。
そういう人たちはまさに「命を削って働く」という表現がしっくりくるレベルで働いている。
もっとも、稼働時間だけでいうと1年目はそこまでではなく、一番忙しそうにしているのは留学後のシニアアソシエイトという印象。

出典:森・濱田松本法律事務所の口コミ・評判

また、女性のワークライフバランスについては、以下のような口コミがあります。

優秀な方が多いですよ。給料高いのが人生のモチベーションという方にはうってつけの事務所だと思います。ただその分、ワークライフバランスの点では犠牲を伴うので、その点はきちんと考えた方がいいです。特に女性の方で子供好きな方とかは女性としての幸せが得られるキャリアを選択された方がいいかもしれません。

出典:長島・大野・常松法律事務所の口コミ・評判

一方で、年収や留学制度といった待遇面・周りの優秀さ・ネームバリューでは他事務所にない良さがあり、ファーストキャリアにはおすすめだという意見も多くあります。

国内で唯一?希望した弁護士全員に留学を認めている事務所とのこと。留学を絶対にしたいという人には最高だろう。
業務分野は広いが、一般民事のような仕事はほとんどないらしい。また、知財の看板弁護士が独立してしまったとのこと。
オフィスの場所は丸の内の東京駅直結で、最高の場所と思う。

出典:長島・大野・常松法律事務所の口コミ・評判

仕事は忙しいが、働く弁護士は優秀。いろいろな人がいて刺激的、仕事も面白い案件も多い。いろいろなものや人に触れ合えるので、将来の弁護士像があまり見えない人にとっては、実地で将来を考える機会が豊富。
待遇概ね他の口コミの通り。
ここで数年働いていたというのは転職活動においても有効。

出典:森・濱田松本法律事務所の口コミ・評判

五大法律事務所に入るには出身大学が関係する?

五大法律事務所の採用、特に新卒採用において、学歴は大いに評価される項目のひとつです。
なぜなら、五大法律事務所の就職活動は、司法試験の合否が出るよりも前からすでに始まっているからです。

大きく分けて、8~9月に法科大学院生向けのサマークラーク(サマクラ)が、11~2月に予備試験合格者向けのウィンタークラーク(冬クラ)が実施され、そこで優秀だと判断された就活生が選考へと進んでいきます。早いと司法試験の結果が出る前に内定が出ます。

司法試験の結果が出ていないサマクラ・冬クラの時期において、就活生のポテンシャルを判断する重要な材料のひとつとして学歴がみられる、ということです。

参考として、西村あさひ法律事務所のアソシエイト弁護士327名の出身大学・大学院を調査した結果が以下の通りです。(※)

出身人数
東大・京大・早慶法科大学院167
予備試験合格者(上記を含む)143
その他法科大学院16
(※)2023年 LEGAL JOB BOARD調べ

これを見ると、最難関大学の法科大学院出身者や予備試験合格者が圧倒的に多いことが分かります。

とはいえ、完全に学歴100%というわけではありません。特に中途採用の場合は、実務経験が必要になってきます。

転職に必要な経験については、次のコラムで詳しく説明します。

五大法律事務所への就職・転職に必要なスキルや経験

大学・法科大学院での成績

五大法律事務所の採用選考においては、「地頭の良さ」がシビアに見られます。
そのため、出身大学・大学院に加えて学部での成績や法科大学院での成績も評価されます。

また、予備試験に合格しているか否かも重要な評価項目のひとつです。予備試験合格は法科大学院卒業と同等の法律知識・実務素養を有するとみなされるため、法律事務所から高い評価を受ける傾向にあります。

語学力

五大法律事務所は国際案件を多く扱っているため、語学スキルは大きなアピールポイントになります。

ビジネスレベルの英語を問題なく使える英語力が求められており、具体的にはTOEIC800点以上がひとつの目安となります。
留学経験もアピールできるポイントのひとつでしょう。

実務経験

中途採用では、ハイレベルな実務経験をもつ人材が求められています。

五大法律事務所の中途採用の求人は、大きく2つのパターンがあります。

  • ある分野のスペシャリストをピンポイントで採用するパターン
  • すでに自身単体で売上をつくれる人を採用するパターン

そのため、五大法律事務所の中途採用は非常に狭き門であるといえます。

とはいえ、五大事務所ではコーポレートサイトを通じて弁護士の中途採用が受け付けられており、転職者へ向けて道が開かれています。(※)

また、弁護士の転職では自身の専門性を示すために実務経験をしっかりとアピールすることが不可欠です。

弁護士(中途採用)|長島・大野・常松法律事務所

エージェント利用は“転職成功”への近道!

この記事では、日本の法律事務所の最高峰である「五大法律事務所」について紹介しました。
他事務所と比較して圧倒的な年収の高さや案件の豊富さがあり、弁護士なら誰もが憧れる魅力的な環境が整っています。
一方でそれに相応して、就職・転職においては学歴やハイレベルな実務経験などが厳しく評価され、きわめて優秀な弁護士のみが選考を突破できるというのも事実です。

そこで、このように思う方が多いのではないでしょうか。

「実際の五大法律事務所の求人例を見てみたい。」
「自分はどのくらいの転職可能性があるのだろう?」
「現時点での自分の転職市場価値を知っておきたい。」

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