特許技術者とは?仕事内容・年収・転職で有利な条件まで解説!【未経験からでも目指せる】
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「特許技術者の働き方やキャリアを知りたい」「特許技術者に向いているのか知りたい」という方に向けて、「特許技術者」について解説していきます。
本記事では、
- 特許技術者の仕事内容や就職先、年収
- 特許技術者への転職で有利な条件
- 弁理士を目指すのに特許技術者がおすすめな理由
- 特許技術者に転職する方法
などをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
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目次
特許技術者とは
特許技術者は、主に弁理士のサポートをします。弁理士とは、新しいアイデアや技術に関わる特許権など知的財産権の取得を代行する仕事です。新しいものが出る限り特許が必要となるため、特許技術者や弁理士といった知財業界の仕事は将来性が高い点も魅力の一つです。
専門性のある仕事ですが、知財業界未経験・資格無しでも就職・転職が可能な仕事です。弁理士資格なしで弁理士の補助業務(実務)の経験が積める職種であり、弁理士を目指しながら働いている方も多くいらっしゃいます。
実際、弁理士試験の合格者のうち約40%以上が法律事務所や特許事務所のように知的財産に関わる仕事をしています。(参照:特許庁「令和5年度弁理士試験の結果について」)
知的財産権とは
人によって生み出されたアイデアや技術・創作物などには、 財産的な価値を持つものがあります。そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。 知的財産には、発明、音楽、営業秘密などの無体物も含まれます。
その知的財産を保護するための特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの権利が「知的財産権」です。
特許技術者の仕事内容
特許技術者の仕事内容は、大きく以下の2つです。
特許出願書類(明細書)などの作成の補助
特許技術者の主な仕事は、特許出願書類の作成補助です。特許出願書類とは、特許庁に対して出願する際に提出する書類のことを指します。新しいアイデアや技術の詳細な説明や発明の背景、新規性などを文章で説明する必要があります。
また、その他にも特許庁などとのやり取りに必要な書類作成も行います。特許出願の後、特許庁の審査が始まり、特許庁から「拒絶理由通知書」を受け取るケースが多くあります。その場合には、特許出願書類の不備を正すための「補正書」や拒絶理由に対する「反論書」の作成が必要です。
そのため特許技術者は、書類作成に必要な該当分野の技術・科学分野の専門的な知識や正しく言語化する能力が求められます。
クライアントや発明者へのヒアリング
クライアントや発明者へヒアリングすることも特許技術者の仕事の一つです。上述した書類の作成にあたって、クライアントにヒアリングすることで発明したアイデアや技術の理解を深めます。また、クライアントのニーズを正しく汲み取り、適切な特許出願の戦略を策定する必要があります。
したがって、該当分野の技術的な専門知識に加えてコミュニケーション能力が求められます。
特許技術者の就職先
特許技術者としての就職先は、大きく以下の2つです。
特許事務所
特許事務所とは、クライアント(企業)が知的財産権を取得したい時にそのサポートをする事務所です。
知的財産を権利化するには特許庁への申請が必要であり、そのプロセスは複雑になっています。そのため、技術やアイデアを考えた人が自分で行うことがほとんど難しいです。その場合、専門家である特許事務所へ代行を依頼することになります。
特許事務所は、弁理士資格を重要視していることがほとんどです。弁理士資格の取得に前向きな方を採用する傾向があり、特許事務所で働いている特許技術者の方は、弁理士資格を取得するケースが多い印象です。
企業知財部
その他の就職先として、企業の知財部が挙げられます。企業知財部で勤務する場合は、特許技術者ではなく「知財部員」になります。
企業知財部は基本的に、自社の製品・サービス・技術などの知財関係を取り扱います。具体的には、自社製品の権利化業務や特許侵害排除業務をメインに行います。また、自社の知的財産の活用に関する戦略策定・提案を行うこともあります。
企業の知財部では、弁理士資格を取る必要がない場合もあり、弁理士資格を取らずに知財部員としてキャリアアップしていく方もいらっしゃいます。ただし、企業知財部は特許技術者として知財業務経験のある方を募集しているケースが多く、未経験者にとっては狭き門となっています。
特許技術者の年収
特許技術者の平均年収は約600万円です。国税庁によると、日本の平均年収は458万円であり、特許技術者の年収は比較的高給であるといえます。
また、特許事務所か企業知財部かによって昇給基準が異なります。
特許事務所は、成果主義や弁理士資格を重要視する点から、自身のスキルや経験で昇給幅が大きい特徴があります。弁理士資格の取得などで大幅な年収アップも期待できます。
一方で企業知財部は、年齢や役職によって年収が決まる傾向にあります。多くの場合、福利厚生が特許事務所よりも充実しているという点も特徴です。
大手企業の知財部であれば年収800万円以上の求人もあります。ですが、高年収の求人はほとんどが即戦力を求めているため、知財業界の経験が豊富で実績のある方を採用しているケースがほとんどです。
特許技術者のその後のキャリア【弁理士を目指す方にもおすすめ】
続いて、特許技術者になった後のキャリアをご紹介します。特許技術者となった方の多くは、以下のようなキャリアに進みます。
弁理士として特許事務所で働く
特許技術者として働きながら弁理士資格を取得し、弁理士として特許事務所で働く方が多くいます。
特許事務所側も、弁理士資格を取得する意思がある方を特許技術者として採用する傾向があります。弁理士の独占業務である特許申請の代行が事務所の売上のメインになるためです。
特許事務所側は弁理士資格を取得してほしいと考えているため、弁理士資格のための勉強時間を確保しやすかったり、コスト面でサポートしてくれるような事務所が多くあります。また、弁理士資格を取得する前に知財業界の実務経験を積めるため、資格取得後に即戦力として活躍できます。
したがって、弁理士を目指している方には、特許技術者として特許事務所で働きながら資格を取得することがおすすめです。
弁理士資格を取得することで、できる業務やキャリアの幅が広がり、年収アップも期待できます。詳しくは次の章でご紹介します。
企業の知的財産部で働く
特許技術者としてある程度経験を積み、スキルが身についた方が企業知財部に転職して活躍するケースもあります。
知財部は基本的に、自社の製品・サービス・技術などの知財関係を取り扱います。具体的には、自社製品の権利化業務・特許侵害排除業務・権利化した特許をどのように経営に活かせるかの検討といった業務があります。
福利厚生が充実していることが多く、さらにマネージャーなどの役職につくと年収1,000万円以上になるケースもあります。
特許技術者と弁理士の違い
特許技術者と弁理士は似た業務内容ではありますが、以下のような違いがあります。
できる業務とキャリアの幅
弁理士には、独占業務があります。独占業務とは、その資格を有する人でなければ扱えないように法律で規制された業務のことを指します。
弁理士の独占業務はいくつかありますが、代表的なものとして、特許・実用新案等に関する特許庁に対する申請代行業務が挙げられます。特許庁に対する特許の申請を代行できるのは弁理士だけであり、特許技術者は書類の作成までしかできません。
また、弁理士資格を持つと、企業に対する知財コンサルティングや独立して特許事務所を開業するといったキャリアの選択肢が増えます。知財コンサルや独立は大幅な年収アップも期待できます。
年収
弁理士の平均年収は約700万円であり、特許技術者の平均年収である600万円と比べて100万円程度の差があります。
この理由は、上記でご紹介したように業務の幅が広くなるためだと考えられます。特に特許事務所の場合、弁理士資格を持っている方は重宝されるため、弁理士資格を取得することで大幅な年収アップも期待できます。
また、弁理士資格を取得することで知財コンサルや大手企業の知財部、独立といった選択肢も増え、年収1,000万以上の方も珍しくないです。
特許技術者は未経験・資格無しでも就職・転職できる
弁理士として働くには、弁理士の国家資格が必須となります。弁理士試験の過去5年間の平均合格率は約7.2%と難易度は高く、弁理士資格を取得するには数年かかる方がほとんどです。
一方、特許技術者は知財業界未経験・資格なしでも就職・転職が可能です。
実際、未経験から特許技術者になる方も多く、弁理士を目指すためのキャリアパスとして、未経験から特許技術者を選択する方もいらっしゃいます。
特許技術者として働きながら弁理士資格取得を目指すと以下のようなメリットがあります。
特許技術者として働きながら弁理士資格取得を目指すメリット
- 弁理士資格を取るための時間確保がしやすい
- 弁理士資格をのための費用をサポートしてもらえることがある
- 知財業界で実務経験を積めることで、資格取得後に即戦力として活躍できる
弁理士について詳しく知りたいという方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
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特許技術者の就職・転職で必要なスキル・経歴
特許技術者は未経験でも就職・転職が可能ですが、以下の2点は必須な場合がほとんどです。
- 何らかの技術・科学分野に関する理系の専門知識
- 理系の学部・大学院の出身
特許技術者のメイン業務である明細書作成やクライアントへのヒアリングでは、その分野の専門的な知識が求められます。理系のバックグラウンドが全くない状態だと、新しいアイデア・技術の理解やクライアントとのコミュニケーションが困難となり、業務に支障が出てしまいます。
したがって、採用側も理系の専門知識を有しているかを重点的に見ています。
特許技術者の就職・転職で有利な条件
特許技術者の転職では知財業界の経験者が有利ですが、就職・転職の際に未経験でも歓迎されやすい有利な条件をいくつかご紹介します。
英語力を示す資格を持っている方
TOEICなどの英語力をアピールできる資格を持っている方は、外国の案件を扱っている特許事務所や外資企業の知財部といったグローバルな案件を扱っている就職先に有利です。
英語の読み書きができると、他国が日本で特許を申請する案件や日本が他国で特許を申請する案件を担当できるため、重宝されます。
ここ数年間で国内の出願件数に比べて世界全体の出願件数が増加しているため、今後の知財業界でも英語力のある人材はより活躍すると考えられます。
開発・研究職または技術職などの経験がある
メーカーの開発・研究職やエンジニアなどの技術職の経験がある方は、歓迎されることが多い傾向にあります。職にしていた分野の専門知識を有していると判断されるためだと考えられます。
同じ理由で、個人でプログラミングや開発をしていた経験なども歓迎される条件の一つです。
年齢が若くポテンシャルがある
業界未経験者を採用する際には、年齢が若ければ若いほど有利です。具体的な基準としては「35歳前後」までが一つの目安です。
知財業界では高齢化がどんどん進んでおり、働いている方々の平均年齢が40代後半~50代前半といわれています。若返りを図るために若い方を積極的に採用しようとしている事務所や企業がほとんどです。
また、未経験者であれば指導は必須となるため、指導に対しての飲み込みが早いかという判断の軸としても年齢は加味されます。
特許技術者に向いている人の特徴
特許技術者に向いている人の特徴を2つご紹介します。
好奇心が強く、新しいものに興味を持てる人
特許技術者は、新しいアイデアが世に出る前にいち早く目にすることができます。新しいものに触れることで知的好奇心を満たし、仕事のなかに楽しさを見出せる人にとって、特許技術者や弁理士は天職といえます。
また、近年日本から他国への出願、他国から日本への出願の件数が増えており、事務所によってはグローバルな案件に関わることも増えるでしょう。世界に影響するような新たなアイデアにいち早く出会える可能性もあります。
情報収集が苦にならない人
情報収集をし、それらをまとめることが得意な人は特許技術者に向いています。
特許技術者の業務として、特許出願書類・明細書の作成補助がありますが、この書類を作成するためには、情報を収集してまとめる力が必要不可欠です。明細書とは、特許申請する新たなアイデアの技術に関する知識・商品発売の背景・市場の動向などを理解し、アイデアの新規性をまとめたものです。
未知の技術や新規の発明を扱うため、自分の知らない情報もあります。広く情報を集め、それらの情報を的確にまとめる必要があります。
特許技術者に就職・転職する方法
特許技術者に就職・転職する方法は、大きく2つあります。
自力で求人を探し、応募する
転職サイトや各職場のホームページなどから自身で求人を探し、応募する方法があります。自分で全て探すため、選択肢が広く、自分のペースで就職・転職活動を進められる点がメリットです。
ただし、知財業界は専門的であり、知見が豊富な方でないと正しく情報を集めることは難しいでしょう。職場によって扱う技術や業務内容が細かく変わってくるため、誤った認識で就職してしまうと後悔しかねません。
転職エージェントを利用する【おすすめ】
特許技術者に就職・転職を考えている方にはまず、転職エージェントに登録し、専門性の高いアドバイザーに相談してみることをおすすめします。
知財業界を専門としている転職エージェントであれば、知財業界への深い知見を有しており、自分の知財業界への理解が深くなります。
さらに、転職エージェントであれば求職者のニーズに合った求人を紹介してくれるため、就職・転職活動の負担を大幅に減らすことができます。
- 自分に特許技術者の適性があるのか
- 弁理士・知財業界の内情やキャリアパスを詳しく知りたい
- 特許技術者・弁理士になった場合、どれくらいの年収を目指せるか知りたい
といった方は、ぜひ知財業界を専門とするエージェントに相談してみましょう。
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