測量士と土地家屋調査士の違いは?年収・仕事内容・資格・働き方で比較
「土地家屋調査士と測量士って何が違うの?」
「測量士を調べていたら土地家屋調査士が出てきたけど、違いは何?」
「資格を取るならどっちだろう?」
この記事ではこのような疑問にこたえる情報をお届けします!
土地家屋調査士と測量士はどちらも資格を取って活動する社会で必要不可欠な測量の専門家です。
この2つの士業は領域や業務内容が似ているように見えますが、実は大きな違いがあります。
以下は大まかな比較です。
土地家屋調査士 | 測量士 | |
---|---|---|
主な就職先 | 土地家屋調査士事務所 | 測量会社 |
仕事内容 | 土地の売買・新築時に、その現状を所有者に代わり法務局に登記する | 土木・建築工事の時に、土地の位置や形状を正確に測量する |
資格取得方法 | 合格率10%前後の試験に合格する | 合格率10%前後の試験に合格する以外に、専門の学校を修了するなどの取得方法がある |
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年収・就職先・働き方
まずは年収や就職先、働き方の違いを見ていきましょう。
まとめた表は以下になります。
土地家屋調査士 | 測量士 | |
---|---|---|
平均年収 | 500-600万円 | 400~500万円 |
主な就職先 | 土地家屋調査士事務所 | 測量会社 |
人数 | 24,470人 | 263,870人 |
平均年齢 | 47.2歳 | 43.3歳 |
有効求人倍率 | 0.76 | 4.22 |
月労働時間 | 155 | 169 |
土地家屋調査士の平均年収(勤務年数別)やボーナス・賞与額・昇給方法 – リーガルジョブマガジン
土地家屋調査士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
年収の違い
土地家屋調査士の平均年収は500-600万円、測量士の平均年収は400~500万円と言われています。
また勤務年数別では、以下が目安となります。
一般的には土地家屋調査士の方が測量士よりも年収は高くなりやすいようです。
土地家屋調査士 | 測量士 | |
---|---|---|
1年目 | 300万円~ | 200万円~ |
3年目 | ~500万円 | ~300万円 |
7年目以上 | 700~1000万円以上 | 500万円~800万円 |
土地家屋調査士の平均年収(勤務年数別)やボーナス・賞与額・昇給方法 – リーガルジョブマガジン
就職先と難易度の違い
土地家屋調査士の就職先は、土地家屋調査士事務所、測量会社、建築コンサルティング会社になります。多くの場合、土地家屋調査士事務所に所属することになります。
有効求人倍率は0.76と全職種平均を大きく下回っているため、完全な売り手市場ではありません。
測量士と比較するとやや難しいかもしれません。
しかし、業界全体で高齢化が進んでいるため、若手に入ってもらうことで業界の活性化を求めています。
そのため未経験であっても就職できる可能性があります。
一方で測量士の就職先は、測量会社や建設コンサルティング会社になります。
多くは測量会社へ所属することになります。
有効求人倍率は4.22と非常に高く、就職しやすくなっています。
働き方の違い
土地家屋調査士と測量士の働き方は似ており、内業と外業があります。
土地家屋調査士は少人数のチームで現場に向かいます。現場で測量したのち、事務所に帰りCADを使って図面を作成していきます。
境界を決める際に土地所有者と立ち会う必要があり、依頼者次第では休日に出勤することもあります。書類が完成したら法務局に登記書類を提出します。
測量士もチームで建築や土木の現場に行き、計画書に従って測量を行います。
測量場所は様々で移動に時間がかかる場合があります。
オフィスでは、測量のための計画書作成や測量後のデータをまとめる作業を行います。
どちらも移動や外仕事で拘束時間が長くなりやすく、体力面も求められる仕事になっています。
仕事内容の比較
次に土地家屋調査士と測量士の仕事内容を比べてみましょう。
比較した表は以下になります。
土地家屋調査士 | 測量士 | |
---|---|---|
管轄 | 法務省 | 国土交通省 |
測量の種類 | 一筆地測量 | 公共・民間測量 |
主な依頼主 | 土地所有者全般 | 国・都道府県等の公共機関が多い |
主な目的 | 土地の売買・新築時に、その現状を所有者に代わり法務局に登記する | 土木・建築工事のために、土地の位置や形状を正確に測量する |
土地家屋調査士と測量士の仕事内容は似ているようで大きな違いがあります。
どちらも測量を行うという点では共通していますが、その目的が違うのです。
土地家屋調査士
個人・法人問わず、土地を新たに売買したり、その土地に新たに建物を建てる際には法務局に「不動産登記」をする必要があります。
この「不動産登記」の表題部を調査士が担当し、権利部を司法書士が担当します。
具体的には、以下のようなことを行います。
- 土地や建物の面積・形状の測定を行う
- 隣接地との境界を確定する
- 不動産登記の表示に関する登記をする
※表示に関する登記:簡単に言うと、土地や建物の面積・形状・境界などの状況を登記すること。これ以外に「権利に関する登記(=誰が土地を所有するか)」があり、それは司法書士が担当する。
基本的には土地所有者が依頼者となりますが、不動産会社や司法書士を通して依頼が来ることが多いです。
測量士
道路や建物、鉄道など土木・建築工事を行う際には正確な測量が欠かせません。また地図を作成する際にも測量が必要です。
測量士はこういった測量を担う必要不可欠な仕事です。
人工衛星やドローン、専用の機器を使って正確な測量を行います。
測量士も土地家屋調査士のように土地の境界を測量することはできます。ただし、登記はできません。
測量士は主に国や都道府県、市区町村のような公共機関から依頼を受けることが多いです。公共機関以外にはデベロッパーなどの土木・建築を行う企業から依頼を受けます。
まとめ
土地家屋調査士が登記のために測量するのに対して、測量士は主に工事のために測量するという点で大きく異なります。
測量士は登記のために測量することができず、逆に土地家屋調査士は登記を目的としない測量(工事のための測量など)はできません。実際に登記することができるのも土地家屋調査士だけです。
資格の比較
土地家屋調査士 | 測量士 | |
---|---|---|
種類 | 国家資格 | 国家資格 |
受験資格 | 必要なし | 必要なし |
取得方法 | 土地家屋調査士試験に合格する | 測量士試験に合格する以外に、専門の学校を修了するなどの取得方法がある |
勉強時間 | 1,000~1,500時間 | 300~500時間 |
合格率 | およそ8~10% | およそ7~18% |
難易度の違い
例年の合格率はそれぞれ以下のように言われています。
土地家屋調査士:約8~9%
測量士:約7~18%
直近の結果をみると以下のようになっています。
測量士:10.3%(受験者数:3667人)
土地家屋調査士:9.6%(受験者数:4404人)
参考:令和5年測量士・測量士補試験の合格者を発表 | 国土地理院
参考:法務省:令和4年度土地家屋調査士試験の最終結果
測量士の合格率に幅があるのは、絶対評価を取っているからです。そのため試験の難易度によって合格者数が大きく前後します。
いずれの資格も10%前後と難しい資格であることがわかります。
一方で必要とされる勉強時間には違いがあります。
土地家屋調査士には1,000時間以上必要と言われる一方で、測量士は300~500時間と少なめです。
トータルで考えると、土地家屋調査士の方が取得が難しい試験であると言えます。
取得方法の違い
資格の取得方法にも違いがあります。
土地家屋調査士は原則、試験に合格することで取得できます。
ただし、測量士補・測量士・一級建築士・二級建築士の資格を持っていれば午前試験が免除になります。
一方で測量士になるためには3通りの方法があります。
- 測量士試験に合格する
- 認定された学校を修了し測量士補資格を取得したのち、学歴に応じた実務経験を積む
- 測量士補試験に合格したのち、認定された養成施設を修了する
ダブルライセンスについて
土地家屋調査士と測量士の資格試験は、似ている部分があるため、両方を取得することは比較的しやすいと言えます。
上記で述べたように測量士の方が取得しやすいため、まずは測量士を取得したのちキャリアアップとして土地家屋調査士を取得するという方もいらっしゃいます。
ダブルライセンスのメリットは、業務の幅が広がることにあります。さらに必要な設備やスキルが共通しているため相性はよいでしょう。
土地家屋調査士資格では行えない公共測量も測量士資格があれば行うことができます。多くの従業員を抱えていている事務所であれば、売り上げを安定させるために案件の幅を広げることができます。
一方で、両方がなければできない仕事というのはないため、どちらかの仕事だけで問題ないのであればダブルライセンスのメリットはあまりないでしょう。
まとめ
これまで見てきたように土地家屋調査士と測量士は似ているようで違う仕事です。
しかしどちらの業界も高齢化と人手不足が進んでいます。
またどちらも将来性があり社会に必要不可欠な仕事です。
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