新卒でインハウスローヤーになるには|仕事内容や年収まで徹底解説
司法試験合格後の就職先として、近年では法律事務所ではなく一般企業という選択肢も広がっています。こういった一般企業で活躍する弁護士、インハウスローヤーに興味のある方の中には、
「インハウスローヤーの求人をなかなか見つけられない…」
「新卒だと一般企業への就職は難しいのか?」
「新卒でインハウスローヤーになった場合のキャリアはどうなるんだろう」
など不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、インハウスローヤーへの就職について詳しく解説します!
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目次
インハウスローヤーとは
そもそも、「インハウスローヤー」というのは、法律事務所ではなく一般企業で勤務する弁護士のことです。ほかにも「企業内弁護士」と呼ばれることもあります。
近年はコンプライアンス意識が高まり、リーガル領域を強化している企業が増えてきているため、インハウスローヤーは増加しており、10年でインハウスローヤー数は6倍以上になっています。
仕事内容
インハウスローヤーの具体的な仕事内容には、企業の法的リスクを防ぐためのコンプライアンスや契約管理、法律相談などを担当するほか、戦略的な法務サポートなどがあります。これらの仕事内容を大きく4つに分けて詳しく解説します。
1,契約書の作成・審査
取引におけるリスクを回避しつつ、会社の利益を最大化するために契約内容を確認します。
取引先が用意した契約書に合意する場合、こちら側から不利になる条件がないかなどをチェックします。また、契約書を作る際には、トラブルが起こった際になるべく訴訟を避ける内容にすることが求められます。
トラブルがあったときに訴訟などに発展しないために取引先と交渉・譲歩をしながら作り上げることになります。
2,ガバナンス体制構築、コンプライアンス対応
ガバナンス体制の構築として、取締役会や各種委員会の運営、規程等の作成・見直しなどを行います。また、内部通報制度の構築や窓口・調査機関としての対応、社内研修の実施、コンプライアンスチェックリストの作成などのコンプライアンス対応も行います。
3,法的相談・サポート
社内からの法務相談に応じ、適切なアドバイスを行います。
インハウスローヤーは、事業をスムーズに進めるため、法的リスクを抑えつつ実現可能な解決策を提供し、ビジネスの成長に貢献する役割を果たします。
4,紛争対応
トラブル発生時の解決策の提案や顧問弁護士との連携が紛争対応の主な業務内容です。
インハウスローヤーは全く訴訟対応しないということはありませんが、訴訟が必要になるような複雑な案件は顧問弁護士に投げることの方が多いです。訴訟の準備として、契約書などの書類を準備したり、担当者から事情を聞いたりします。また、顧問弁護士に弁護を依頼するならば、トラブルの内容をわかりやすくまとめて伝えるなどします。マスコミ対応などを広報部などと模索することもあります。
年収
弁護士経験5年未満のインハウスローヤーの年収は、500~750万円程度です。法律事務所勤務では経験年数5年未満の弁護士の平均年収は735万円なので、経験年数が浅いころはあまり差がないといえるかもしれません。
インハウスローヤー全体の平均年収は750万円程度です。法律事務所勤務の弁護士の平均年収は1,000万円程度なので、全体としては法律事務所勤務と比べてインハウスローヤーは年収が低いということができます。
参照:https://jila.jp/wp/wp-content/themes/jila/pdf/questionnaire202203.pdf
近年の弁護士の実勢について|日弁連
インハウスローヤーのメリット&デメリット
メリット
- ワークライフバランスが実現しやすい
- 福利厚生が充実している
デメリット
- 法律事務所と比べると年収が低い
- キャリアの幅が狭まる
メリット
1,ワークライフバランスが実現しやすい
インハウスローヤーの1日の平均的な勤務時間は8〜9時間です。また、休日出勤はほとんどありません。法律事務所勤務の弁護士は一日あたり1~2時間であり、一日当たりの平均勤務時間は10時間程度です。また、法律事務所に勤務する弁護士は自由業であるため、休日は変則的になってしまうこともあります。このように、法律事務所に勤務する弁護士と比べると、インハウスローヤーの労働時間は比較的短いと言えるでしょう。
インハウスローヤーは、自分の時間を確保しやすく、ワークライフバランスが実現しやすいといえます。
参照:https://jila.jp/wp/wp-content/themes/jila/pdf/questionnaire202203.pdf
2,福利厚生が充実している
インハウスローヤーは一般企業につとめることになるので一般的なサラリーマンと同様に福利厚生をうけることができます。種類は企業によって様々ですが、福利厚生としてよくあるものは以下のとおりです。
- 住宅手当
- 通勤手当
- 家族手当
- 出産や育児に関する支援制度
- 厚生年金
- 退職金制度
インハウスローヤーは法律事務所勤務の弁護士と比べて給料は低いですが、これらの福利厚生を考慮すると給料の差分をカバーできるといったケースもあります。
デメリット
1,法律事務所と比べると年収が低い
法律事務所に勤務すると、場合によっては1年目から1,000万円を超えることもありますが、インハウスローヤーにおいてそのようなことは稀です。インハウスローヤーの場合、経験年数5~15年では60%以上が年収1,000万円以上となります。年収は法律事務所に勤務する場合と比べ、低くなってしまうこともあるでしょう。
収入こそ法律事務所勤務に劣りますが、インハウスローヤーは残業が比較的少なく、決まって休日を得られるという魅力があります。
2,キャリアパスの幅が狭まる
インハウスローヤーは所属する組織の事業やサービスに関する法務には強いです。法律事務所のような案件ごとの多様性に触れる機会はなくなってしまうのです。
そのため、インハウスローヤーから法律事務所へ転職するのは、法律事務所からインハウスローヤーに転職するよりも多少難しいです。
新卒でインハウスローヤーになるには
新卒でインハウスローヤーになるのは難しい?
インハウスローヤーは中途で採用することが多く、新卒向けの求人はかなり少ないです。これは、企業が即戦力となる経験豊富なスペシャリストを求めているためです。しかし、新卒ではインハウスローヤーになれないというわけではありません。
司法修習と並行し、求人情報を見逃さないよう随時チェックすることが重要です。そして希望と合致した求人があれば積極的に応募しましょう。
インハウスローヤーに求められるスキル
求められるスキル
- コミュニケーション能力
- 語学力
- 自社ビジネスの理解
1,コミュニケーション能力
インハウスローヤーは企業内の法務以外の人と協力する機会が多くあります。そのため、法律のバックグラウンドがない相手とコミュニケーションをとるときに、相手の知識を確認しながら法律知識を分かりやすく伝えつつ、他部署の人の意見と交換しながらビジネスを進めていく必要があります。
つまり、対顧客だけでなくむしろ企業内での円滑なコミュニケーションを実現するためにも、コミュニケーション能力が必要なのです。
2,語学力
海外に拠点を持つ企業では、一定の英語力あるいは特定の国の言語能力を求められることもあります。 企業によっては必須ではないものの、やはり英語力をはじめ語学力はあるに越したことはないでしょう。
ただ、ここでの語学力とは、各種交渉や英文契約書のチェックに携わるための能力を指してます。何か資格を持っているというよりは、実践の伴った語学力があるとよいでしょう。目安として、TOEICで750~800点などの条件を課している会社もあります。
3,自社ビジネスの理解
他企業や他部署との交渉を任される中で自社にビジネスの理解が求められます。ただ法律に照らし合わせて仕事をするのではなく、自社の利益となるように動く必要があります。
こういったビジネスセンスを磨きたい、興味があるという方はインハウスローヤーに向いているのではないでしょうか。
新卒でインハウスローヤーになるには
先にも述べた通り、インハウスローヤーは中途採用が多く、新卒の求人は数が少ないです。加えて求められるスキルも多いので、求人をくまなくチェックして応募することが求められます。ただし、司法修習前や最中の忙しい時期に自分ですべて求人をチェックして応募書類を作成し、選考の対策をするのはかなりハードです。
そこで、就職エージェントを使うことをおすすめします。就職エージェントは求職者の理想にあった求人を紹介してくれるだけでなく、履歴書など応募書類の添削、面接対策などの選考対策を提供してくれます。
インハウスローヤーに就職したい方も、そうでない方も効率的に就職活動をすすめるためにぜひ就職エージェントを利用しましょう。
詳しく知りたい方はこちら
就職エージェント比較表
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まとめ
インハウスローヤーについて知りたい情報は得られたでしょうか。司法修習生の就職情報については、ほかの記事もありますのでぜひご覧ください。
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新卒でインハウスローヤーを目指す場合も、法律事務所に就職してその後のキャリアでインハウスローヤーを目指す場合も、就職エージェントに登録し、効率的に就職活動を進めましょう。