M&A仲介業界の年収はなぜ高い?その理由や年収の高い企業ランキングなどを解説!
M&A仲介業界の年収は非常に高く、上場企業の平均年収ランキングの上位10位以内にM&A仲介企業が2社存在しています。それらの中には平均年収が2,000万円を超える企業もあるほどです。
本記事では、そんなM&A業界の年収が高い理由、年収が高い企業のランキング、年次ごとの年収の変化などについて解説していきます。
目次
M&A仲介企業の年収はなぜ高い?
M&A仲介企業の年収が高い理由は複数あります。中でも大きな理由は以下の3つです。
M&A業界の年収が高い3つの理由
- M&A仲介の収益性の高さ
- 充実した成果報酬体系
- 現在M&Aニーズが高いから
収益性が高いビジネスモデル
M&A仲介は売り手企業と買い手企業をマッチングさせ、成約が完了したら契約した会社から手数料を受け取るというビジネスモデルです。
このようなビジネスモデルにおいて、案件獲得にはあまりお金がかからない上、中には自社で直接営業して案件のほとんどを獲得している企業もあります。
そのため、人件費や広告宣伝費以外にほとんど支出がなく、収益性が高くなっています。中には営業利益率50%を超える会社もあるほどです。
成果報酬体系という給与構造
M&A仲介の多くの企業では、「基本となる固定給+案件により発生するインセンティブの合計」が給与となります。M&A仲介は1案件成約までに平均半年〜1年かかる一方で、成約単価は平均で5,000〜7,000万円、大きいもので1億を超える案件も存在します。
また、M&A仲介のインセンティブは一般的に20%程度です。そのため、1件成立で1,000〜1,500万円程度のインセンティブを受け取ることができます。このインセンティブは青天井であり、成果案件の大きさ・件数によっては年収が1億円を超えるケースも実際にあります。
M&A仲介のニーズの高まり
現在の日本では少子高齢化により経営者の平均年齢が上昇し、事業継承者不足が問題となっています。帝国データバンクのデータによると、2023年時点で後継者不在と答えた企業は53.9%でした。
中には黒字廃業のリスクを抱えている企業も多く存在しているようです。そのため、M&A仲介の需要は非常に高まっています。このようなM&A仲介の需要の高まりがM&A仲介事業の年収を上げている一つの要因になっています。
M&A仲介企業の年収ランキング
ここでは、年収の高いM&A仲介の企業の平均年収のランキングを紹介します。
今回は、東証プライム市場上場企業4社と東証グロース市場上場企業4社に分けて紹介します。
東証プライム市場上場4社
現在東証プライム市場には、日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ、M&A総合研究所の4社が上場しています。
こちらの4社はM&A業界の中でも特に大きく「M&A大手4社」と呼ばれています。そんな4社の年収ランキングは以下のようになっています。
順位 | 会社名 | 平均年収[万円] | 平均年齢[歳] |
1位 | M&Aキャピタルパートナーズ | 2,688 | 32.2 |
2位 | M&A総合研究所 | 2,323 | 29.2 |
3位 | ストライク | 1,432 | 35.3 |
4位 | 日本M&Aセンター | 1,202 | 34 |
参照:東洋経済ONLINE「年収が高い会社ランキング500社 2023年版」
M&A総合研究所 採用情報
M&Aキャピタルパートナーズは特に年収が高く、上場企業全体で見ても平均年収は9年連続1位に輝いています。また、M&A総合研究所以外の企業はバックオフィス職等の年収も含む平均であるため、M&Aアドバイザーの平均年収は上記の数字よりも確実に大きくなります。
この4社の場合会社の規模も大きいため、取り扱っている案件の規模も大きくなっています。そのためほかのM&Aの企業と比較して、1人当たりの売上高が高くその結果年収が高くなっているという特徴があります。
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東証グロース市場上場4社
現在東証グロース市場には、ブティックス、オンデック、ジャパンM&Aソリューション、インテグループの4社が上場しています。(2024年12月現在)
これら4社の中で、ブティックスが最も早い2018年に上場し、最も最近では2024年6月にインテグループが上場しました。これらの今後も成長が著しいであろう4社の年収ランキングは以下のようになっています。
順位 | 会社名 | 平均年収[万円] | 平均年齢[歳] |
1位 | インテグループ | 1,800 | 32.3 |
2位 | オンデック | 703.3 | 35.8 |
3位 | ジャパンM&Aソリューション | 621.1 | 34.8 |
4位 | ブティックス | 620.5 | 33.6 |
オンデック 有価証券報告書
ジャパンM&Aソリューション 有価証券報告書
ブティックス 有価証券報告書
1位のインテグループは4社中で圧倒的に平均年収が高く、1,000万円を超えています。この理由には、最大インセンティブ率の高さがあります。一般的にM&A仲介で発生するインセンティブは20%程度であるといわれています。しかしインテグループでは、成約件数に応じてインセンティブ率が上がっていく仕組みになっており、最大40%以上にもなるようです。
ブティックス以外の3社は従業員数が、30〜60名となっています。またこれらの3社は、M&Aアドバイザリー事業のみを扱っています。そのため、ブティックスと比較して年収が高くなっていると考えられます。
ブティックスは従業員数が150人近く、上記4社の中では最も多くなっています。また、他3社と異なりM&Aアドバイザリー事業の他に展示会事業も行っています。そのため、ブティックスのM&Aアドバイザーの年収は上記より高い可能性があります。
M&A仲介企業の初年度の年収は?
M&A仲介業界で初年度から1,000万や2,000万円といった平均年収に近い高い給与を実現することはできるのでしょうか?
結論から言うと可能ではあるが、確実にできるとはいえません。不確定になってしまう理由として、M&A仲介業界の年収の構造にあります。
まず一般的なM&A仲介企業の年収の内訳は「基本給+固定残業代+実績により支給されるインセンティブ」のようになっています。
多くの企業では、基本給+固定残業代が300〜600万円になるようです。つまりM&A仲介業界で初年度から、1,000万や2,000万円といった高い給与に達するにはインセンティブの獲得が不可欠になります。
また一つの案件の初回面談から、成約までの期間は6〜12か月程度といわれています。つまり1年目から成約を達成することは可能であり、案件の規模にもよりますが成約を取ることができれば年収が1,000〜2,000万円に達することができます。
しかし1年目においては、経験や知識不足などの理由により成約に時間がかかってしまうことや、業界の特性上途中で案件が流れてしまうこともあるようです。このような理由により、初年度は成約に達することができず年収が基本給の額になるといったことも多いようです。
初年度から高い年収を実現するには?
初年度から高い年収を獲得するために重要なこととして、企業選びがあります。
M&A仲介の企業は、独自の研修制度や業務体系、年収の構造を持っていることが多いです。研修制度が手厚い企業を選ぶことや、自分に合った業務体系の企業を選ぶことで初年度から成約につなげやすくなると考えられます。
例えばM&A総合研究所では、手厚い研修制度の成果として未経験で入社した社員の77%が1年目から成約に達することができています。このような研修の手厚さや自分に制度が合うかどうかを事前に知った上で企業に入ることで、格段に成果を上げやすくなるでしょう。
このような業界知識を得る手段の一つとして転職エージェントの利用があります。M&Aの業界知識を豊富に有しているコンサルタントから、転職や企業に関する情報を得ながら転職活動を進めることができます。
M&A仲介業界への転職の際におすすめのエージェント
M&A仲介業界の2年目からの年収は?
M&A仲介業界で2年目からの給与はどのようになるのでしょうか?結論として2年目からは、業務への慣れや知識が定着することで、案件を成約できる可能性が上がり、高い給与を実現しやすくなると考えられます。
2年目からは先ほど初年度の年収の項目で述べたような、経験や知識不足による成約期間の長期化が抑制できると考えられます。また前年度担当していた案件を、そのまま次の年度に持ち越し成約するといったケースも考えられるでしょう。そのため年収が1,000〜2,000万円に達することも大いに可能である上、案件の規模によってはそれ以上も期待できるでしょう。
実際M&A総合研究所の在籍1年越えM&Aアドバイザーの平均年収は、1,701万円と1,000万円を大きく超えています。また在籍2年越えM&Aアドバイザーの場合2,874万円となっており、経験や知識がつくにつれて年収は上がっていくと予想されます。
未経験からでも高収入は実現できるか
「未経験からではM&A業界への就職・転職が難しい上、入社できても自分に活躍できるだろうか」と不安に思っている方もいるかと思います。
しかし結論から言って、未経験からでも就職・転職は可能なうえ、就職・転職後も活躍できる可能性は大いにあります。
M&A業界における未経験者の現状
以下の図はM&A総合研究所への転職者の前職に関する図です。
この図からもわかるように、M&A総合研究所へ入社された方の80%以上の方がM&A仲介を経験していない方です。そのうえ転職者の前職も様々であり、あらゆる業界からチャレンジできることが伺えます。
今回はM&A総合研究所を例に出しましたが、他のM&A仲介企業も同様に未経験歓迎の求人を出していることがほとんどです。このようにM&A業界は、未経験の方をむしろ積極的に採用している業界であるといえます。
一方、M&A総合研究所へ転職を成功させた方の多くは、メガバンクや証券会社、商社といった大手企業でのビジネス経験を持つ方が多くなっています。そのため、未経験から入社するには十分な準備が必要なことも事実です。
加えて未経験の方も実際に実績を上げています。同社へ未経験で入社した方の年収の推移を以下にいくつかご紹介します。
前職コンサルの方の給与推移
2年目:2,000万円
3年目:5,000万円
前職キーエンスの方の給与推移
2年目:2,800万円
3年目:1億3,000万円
前職大手証券会社の方の給与推移
2年目:3,900万円
ここに示した例はほんの一部であり、実際にはこれ以上の例もあると考えられます。このようにM&A業界は、未経験からでも十分に高収入を実現することができる業界であるといえます。
未経験からM&A業界へ就職・転職するには?
先ほどもご紹介したようにM&A業界へ就職・転職する方は非常に優秀であり、就職・転職を成功させるには十分な対策が必要になります。
他の優秀な方々との差別化の方法の一つとして、転職エージェントの利用があります。
転職エージェントを利用するメリットとして、
- 業界や企業の詳細な情報を取得できる
- 無料で選考対策や手続き代行等のサービスが受けられる
- 非公開求人や独占求人といった普通には得られない求人の紹介もある
といったものがあります。
専門的な知識を持ったエージェントとの選考対策は、内定を勝ち取ることにつながるでしょう。また業界や企業の知識を得ることで、様々あるM&Aの業務形態のうち、自分に合った業務形態を選びやすくなります。この結果自らの働きやすさにつながり、成果もあげることにもつながるでしょう。
未経験からM&A仲介業界への転職の際におすすめのエージェント
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