SIer企業は5種類(メーカー/ユーザー/独立系…)それぞれの特徴を解説!
「どのSIerの種類が自分に合っているか分からない」「転職するならどのSIerを選べばいいのだろう」そんなSIerに関する悩みはありませんか?
本記事では、SIerを代表する5種類をわかりやすく解説し、それぞれの特徴や将来性を整理しました。読み進めることで、自分に合ったキャリアの方向性をつかめるはずです。
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目次
SIerの種類|そもそもSIerとは何かを解説
SIer(エスアイヤー)とは、企業や組織の業務を支えるITシステムを企画・設計・開発・運用まで一括して請け負う会社を指します。
ハードウェアやソフトウェアを組み合わせて最適なシステムを構築する役割を持ち、メーカー系・ユーザー系・独立系など複数の種類に分かれるのが特徴です。
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SIerの種類|企業は5種類
SIerは企業の体制によって、5種類に分類できます。ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説します。
それぞれのメリット・デメリットを知りたい方は、こちらをご覧ください▼
SIerの種類①|メーカー系
特徴
メーカー系SIerは、大手ITメーカーや電機メーカーの情報システム部門から発展したSIerです。
親会社が持つハードウェアやソフトウェアを中心にシステムを構築するのが基本で、グループ会社の一員として活動しています。
そのため、案件は親会社や系列企業からの依頼が多く、企業基盤が非常に安定しています。
仕事内容
メーカー系SIerは、親会社やグループ企業のシステム開発・運用が中心です。自社で持つハードやソフトを活用し、大規模で社会インフラを支えるような案件を担当することが多いのが特徴です。
具体的には、金融機関の勘定系システム、電力会社の供給管理システム、鉄道の運行管理システムなど、大規模で止められないシステムの設計・構築を担います。
案件規模が大きいため、プロジェクトマネジメントや長期的な運用にも関わります。
・NTTデータ
・日立ソリューションズ
・富士通システムズ
将来性
親会社の事業に依存する部分が大きいですが、その分安定性は抜群です。大規模案件に携われる機会が多く、安定志向のエンジニアに適しています。
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SIerの種類②|ユーザー系
特徴
ユーザー系SIerは、銀行・商社・メーカーなどの一般事業会社の情報システム部門が独立してできたSIerです。
親会社の業務を深く理解している点が強みで、グループ全体のITを支える立場にあります。外販案件は少なく、ほとんどが親会社や関連企業向けのシステム開発です。
仕事内容
ユーザー系SIerは、親会社やグループ会社の業務を支えるシステムを一手に担当します。外部のクライアントよりも、親会社の業務改善や効率化が中心です。
具体的には、銀行ならオンラインバンキングシステム、鉄道会社なら乗車券予約や運行管理システム、商社なら在庫・物流管理システムなどです。
自社のビジネスに直結するシステムを長期的に運用・改善するため、業務知識を深められる点が特徴です。
・野村総合研究所(NRI)
・三菱UFJインフォメーションテクノロジー
・JR東日本情報システム
将来性
親会社の業績に左右される面はありますが、長期的に安定した需要があります。特定業界の専門性を深められるため、金融や流通など特定分野で強みを持つキャリアを築けます。
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SIerの種類③|独立系
特徴
独立系SIerは、特定のメーカーや親会社を持たず、独立した経営基盤で幅広い顧客にサービスを提供するSIerです。
成り立ちは比較的自由で、ベンチャーから成長した企業もあれば、老舗の中堅企業もあります。
メーカーや業界に縛られないため、多彩な案件を手掛けられるのが強みです。
仕事内容
独立系SIerは、特定のメーカーや業界に縛られず、幅広い顧客の案件に対応します。規模は小規模な業務システムから大規模なインフラ構築まで多岐にわたります。
例えば、中小企業向けに販売管理システムを新規開発したり、大企業向けに人事給与システムを導入・運用したり、官公庁の電子申請システムを受託開発するケースもあります。
プロジェクトによって担当工程が異なり、要件定義から設計・開発・保守まで幅広く経験できるのが特徴です。
・TIS
・SCSK
・オージス総研
将来性
幅広い案件を経験できるため、技術的なスキルや業界知識をバランスよく伸ばしたい人に有利です。
ただし、案件によっては下請け構造になりやすく、労働環境の厳しさが指摘される場合もあります。
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SIerの種類④|コンサル系
特徴
コンサル系SIerは、経営コンサルティング会社や会計事務所系のIT部門から派生して誕生したSIerです。
戦略立案や業務改革を支援するコンサルティングサービスを提供しながら、システム導入までを一気通貫で行います。
経営層と近い立場で働く点が、他のSIerと大きく異なります。
仕事内容
コンサル系SIerは、経営課題を解決するためのシステム導入をコンサルティングと一体で進めるのが特徴です。戦略立案や業務改善とシステム導入がセットになっています。
具体的には、製造業の生産計画を効率化するためのERP導入、金融機関のリスク管理システム構築、流通業のサプライチェーン最適化システムの導入などです。
経営層と直接やりとりしながら、上流工程からプロジェクトに携わることが多いです。
・アクセンチュア
・デロイト トーマツ コンサルティング
・PwCコンサルティング
将来性
DX(デジタルトランスフォーメーション)の需要拡大に伴い、コンサル系SIerは今後も成長が見込まれます。
高いスキルと実績が求められますが、その分報酬水準やキャリアの市場価値は高いです。
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SIerの種類⑤|外資系
特徴
外資系SIerは、海外に本社を持つグローバルIT企業が日本法人として展開しているSIerです。
成り立ちは「外資系ベンダーが日本市場に進出したケース」が多く、クラウドやERPなど自社の製品・サービスを基盤に事業を展開しています。
グローバルな働き方や成果主義の文化が根付いているのが特徴です。
仕事内容
外資系SIerは、グローバル製品や最新のITサービスを導入するプロジェクトを担当します。親会社の技術やノウハウを活かし、外資系ならではのスピード感と成果主義の文化の中で仕事を進めます。
例えば、世界的に利用されているERPパッケージ(SAPやOracle)の導入支援、大企業のクラウド移行プロジェクト、グローバルで統一されたデータ分析基盤の構築などがあります
英語での打ち合わせや海外チームとの連携が必要になるケースも少なくありません。
・IBM Japan
・SAPジャパン
・Oracle Japan
将来性
外資系SIerは、海外発の最新技術やクラウドサービスをいち早く取り入れます。そのため、先端分野でスキルを磨きたい人に適した環境です。
ただし、成果主義が強いため、安定志向の人には向かない可能性があります。
SIerの種類それぞれのメリット・デメリットを確認する▼
SIerの種類|業務領域は4種類
SIerの仕事はその役割によって大きく4つに分けられます。ここでは、SIerの業務領域を4種類に整理して解説します。
SIer業務領域の種類①|コンサルティング・企画
顧客の経営課題や業務の問題を分析し、ITでどのように解決するかを提案する領域です。
要件定義やシステム化計画の立案も含まれます。単なるシステム導入ではなく、経営改善や業務改革と直結するのが特徴です。
・コンサル系SIer
アクセンチュアが大手小売業のDX推進で基幹システム刷新を主導
・外資系SIer
IBMがグローバル製造業向けに業務改革とERP導入を支援
SIer業務領域の種類②|システム開発・構築
設計した要件をもとに、システムを実際に開発・構築する領域です。
アプリケーション開発からインフラ構築、クラウド導入まで幅広く含まれます。プログラミングやテスト、システムの導入作業もここに含まれます。
・メーカー系SIer
NECが自治体のマイナンバー関連システムを担当
・独立系SIer
TISが大手クレジットカード会社の決済システムを開発
・外資系SIer
SAPジャパンが大手自動車メーカーへERPを導入
SIer業務領域の種類③|運用・保守
導入したシステムを安定的に稼働させる領域です。システム障害対応、アップデート、セキュリティ強化、業務フロー改善などを担います。
長期的な付き合いになるため、顧客との信頼関係が重要です。
・ユーザー系SIer
三菱UFJインフォメーションテクノロジーがグループの勘定系システムを長期運用
・メーカー系SIer
日立ソリューションズが鉄道会社の運行管理システムを保守
・独立系SIer
SCSKが流通業向けの基幹システムを24時間体制でサポート
SIer業務領域の種類④|インフラ・基盤構築
ネットワークやサーバー、クラウド環境など、システムを動かす基盤を整える領域です。
セキュリティ対策や可用性の確保など、裏方ながら重要な役割を担います。最近はクラウド移行案件が急増しています。
・メーカー系SIer
富士通が官公庁のデータセンターを構築・運用
・外資系SIer
AWS(アマゾン ウェブ サービス)が金融機関向けにクラウド基盤を提供
・独立系SIer
オージス総研が大手製造業の社内ネットワーク環境を刷新
SIerの種類|それぞれのメリット・デメリットを解説
SIerには、種類によって強みと弱みがあります。両方を理解して自分に合ったキャリア選択に役立てましょう。
SIerの種類①|メーカー系SIerのメリット・デメリット
メリット
・安定性が高い
・大規模案件に関われる
・教育制度が充実している
メーカー系は、安定性とスケールの大きさが魅力的です。腰を据えてキャリアを築きたい人に向いています。
デメリット
・自由度が低い
・技術の幅が限定的
・キャリアの流動性が低い
メーカー系は、守備範囲が限られがちです。幅広い技術を学びたい人には物足りなさを感じる可能性があります。
メーカー系SIerについて詳しく知る▶︎
SIerの種類②|ユーザー系SIerのメリット・デメリット
メリット
・安定した環境
・業務知識を深められる
・働きやすい企業が多い
ユーザー系は、安定感と業界知識の深さが魅力です。落ち着いて働きたい方、専門性を磨きたい方におすすめです。
デメリット
・案件の幅が狭い
・技術革新に触れにくい
・キャリアの選択肢が限定的
ユーザー系は、専門性が深まる一方で、キャリアが業界に固定化されやすい点に注意が必要です。
ユーザー系SIerについて詳しく見る▶︎
SIerの種類③|独立系SIerのメリット・デメリット
メリット
・幅広い案件を経験できる
・技術の選択肢が広い
・キャリアの柔軟性がある
独立系は、スキルを幅広く磨ける環境です。そのため、成長意欲が高い人や柔軟なキャリアを描きたい人に適しています。
デメリット
・案件の安定性が低い
・下請け構造になりやすい
・労働環境の差が大きい
独立系は経験の幅を広げられる反面、安定性や労働環境にバラつきがある点をよく確認する必要があります。
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SIerの種類④|コンサル系のメリット・デメリット
メリット
・上流工程に関われる
・市場価値が高い
・高収入が期待できる
コンサル系はスキルと報酬の両方を追求できる環境です。そのため、挑戦意欲が強い人に向いています。
デメリット
・業務負荷が大きい
・求められるスキルが高い
・競争が激しい
コンサル系はハイレベルな環境だからこそ成長できますが、体力面や精神的なタフさも求められます。
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SIerの種類⑤|外資系のメリット・デメリット
メリット
・最先端技術に触れられる
・成果主義で評価される
・グローバルな経験
外資系は最先端の技術やグローバル環境で働ける点が大きな魅力です。
デメリット
・成果主義が厳しく感じられることも
・安定性が低い可能性
・文化的な違いを感じる可能性
外資系はダイナミックなキャリアを描けますが、安定性や文化の違いに順応できる柔軟さが欠かせません。
自分に合ったSIerの種類を選ぶ方法2選
SIerは種類ごとに特徴が異なるため、選び方を間違えると後悔につながります。ここでは、自分に合ったSIerを見極めるための2つの方法を紹介します。
口コミサイトを確認する
自分に合ったSIerを見極めるには、公式情報だけでなく、実際に働いている人の声を知ることが大切です。口コミサイトやSNSを活用すれば、残業時間や働きやすさ、研修制度など、求人票には載っていない情報を得られます。
さらに、OB・OG訪問や現役社員へのヒアリングもおすすめです。仕事内容や社風のリアルを聞くことで、自分の価値観に合ったSIerかどうかを判断しやすくなります。
転職エージェントを活用する
おすすめの方法は、転職エージェントを利用することです。転職エージェントは非公開求人を多数持っているだけでなく、各SIerの内部事情や職場環境についても詳しく把握しています。
さらに、キャリアアドバイザーがあなたの志向やスキルを客観的に分析し、最適なSIerの種類や企業を提案してくれるため、自己判断だけでは気づけない選択肢を広げられます。
書類作成や面接対策もサポートしてくれるため、効率的かつ安心して転職活動を進められる点も大きなメリットです。
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SIerの種類に関わらず、SIer転職に必要なスキル
SIerにはさまざまな種類がありますが、どこで働くにしても共通して求められる力があります。ここでは、転職を成功させるために欠かせないスキルを紹介します。
IT基礎力と技術スキル
SIerの仕事では、システム開発や運用に関わるため、基本的なIT知識は必須です。プログラミング、ネットワーク、データベースといった基礎に加え、最近ではクラウドやセキュリティ分野の知識も重視されます。
技術の幅広さを押さえておくことで、どの種類のSIerでも応用が利きやすくなります。
コミュニケーション能力
SIerは顧客や社内外のチームと連携してプロジェクトを進めるため、技術力だけでなく人と関わる力が重要です。
相手の要望を正しく理解し、分かりやすく説明できる力や、チームで協力して課題を解決する姿勢が求められます。
特に上流工程に関わるほど、コミュニケーション力が成果を大きく左右します。
課題解決力と柔軟な思考
システム開発の現場では、予想外のトラブルや顧客の新しい要望に対応することが多くあります。
そのため、問題を冷静に分析し、最適な解決策を導き出す力が必要です。また、新しい技術や業界の変化に柔軟に対応する姿勢も、長期的に活躍するためには欠かせません。
自分に合ったSIerの種類を見極めるには、転職エージェントの活用がおすすめ
SIerには種類ごとに特徴があり、合うかどうかは人によって異なります。求人票だけではわからない内部事情や働き方を知るには、転職エージェントの活用が効果的です。
プロのサポートを受けながら進めることで、自分に合ったSIerをより確実に選ぶことができます。










