【業界別】企業内弁護士の仕事内容を解説!ランキングから業界別の弁護士需要を分析
近年、企業内弁護士の人数が大幅に増えています。需要が高まっている企業内弁護士への転職を考えている方も多いのではないでしょうか。
また、具体的にどの業界を狙うべきか・どんな仕事をするのか知りたいと考えている方もいると思います。
企業内弁護士は、所属する業界によって仕事内容に違いがあります。この記事では、
について分析・解説していきます。
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企業内弁護士の需要を業界別で分析してみた
要約
- 製造業で企業内弁護士数の増加率が高い
- メガバンク・五大商社・ITメガベンチャーなどの金融・商社・情報/通信の大手企業で採用人数が大きく増えている
- 企業内弁護士数別にみると情報/通信業界の企業が上位を占める
日本弁護士連合会によると、2023年6月時点で企業内弁護士が所属する企業の業界は、製造業が902人と最も多く、次いで情報・通信業、サービス業、証券・商品先物取引業その他金融業等、卸売・小売業、銀行・保険業などが並んでいます。
製造業のなかだと、機械・電気・精密機器・輸送用機器メーカーが最多で、次いで医薬品企業が多いという結果です。
10年前(2013年)のデータと比べると、特に製造業の企業で企業内弁護士数が増加していることが分かります。
また、人数に注目するとどの業界も増えていることから、企業内弁護士の需要の高まりが見て取れます。
次に、企業内弁護士数ランキングについて、同様に2024年と2014年のデータを比較してみます。こちらは、日本組織内弁護士協会が公開しているデータを参照し、各企業を業界で分類したものになります。
まず、いずれも金融・商社・情報/通信が多いことがわかります。また、人数に注目するとどの企業も増加しています。
企業名を見るとメガバンク・五大商社・ITメガベンチャーが多く、これらの大手企業で企業内弁護士の採用人数が拡大していることが分かります。
そのなかでも、2013年と比べて情報/通信業界の企業が順位を上げていることが分かります。後述しますが、情報/通信業界ではIT技術の発展に伴い、次々と新たなビジネスモデルが誕生しています。予測しにくい法的リスクに柔軟かつ迅速に対応するために企業内弁護士の需要が高まってきていることが、データにも表れているのではないでしょうか。
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【業界別】企業内弁護士の仕事内容
冒頭でも述べた通り、企業内弁護士は所属する業界によって仕事内容が変わってきます。
ひとつ前の章で企業内弁護士の業界別需要を分析した結果、製造業・金融・商社・情報/通信業界などを中心に需要の高まりが見られました。ここからは、各業界で企業内弁護士はどのような業務をするのかについて見ていきます。
日本組織内弁護士協会の情報をもとに、
- 特色ある業務
- 要求される能力
- その業界の企業内弁護士の特徴
の観点で解説していきます。
※留意点
製造業(機械系)
特色ある業務
- 本社・本部という立場からの、グローバル規模のガバナンス体制・コンプライアンス体制の設計と実施
- 労務問題への対応業務
- 複雑な知的財産権の管理やライセンス契約の交渉・作成業務
- 各種業法・知的関連法に業界や消費者の意向を反映させるためのロビー活動
要求される能力
- 国際契約の作成・交渉・チェック能力
- 知的財産権や特許法に関する専門知識
- 広範な法律知識と英語でのコミュニケーション・マネジメント能力
製造業界では、法務部門の組織が他業界と比較して歴史と規模を有しており、企業内弁護士の役割は多岐にわたります。
知的財産部門と法務部門が分かれていることが一般的であり、知財部門では高度な特許法知識が、法務部門では幅広い法的問題に対処する能力が要求されます。企業活動がグローバルに展開するため、語学力に対するニーズも高いといえます。
長年の付き合いがある顧問弁護士など、ある種完成された法務体制があるのも事実です。しかし、事業再編・グループ再編の潮流に伴いM&Aや労務分野などで弁護士ニーズが高まっているため、それらの分野で企業内弁護士の需要があると考えられます。
医薬品
特色ある業務
- 知的財産権の獲得・維持やライセンス契約業務
- M&Aや業務提携に伴う会社法や独禁法への対応
- 薬事法規制や製品リコールなどのコンプライアンス関連業務
要求される能力
- 会社法や独禁法などのビジネス関連法規の知識
- 複雑な薬事法規制の理解と政府医薬行政のフォローアップ能力
- 英語力とコミュニケーション能力
医薬品企業では、医薬品の製造販売に必要な特許など知的財産の獲得・維持が主たる業務となります。
また、近年はM&Aや業務提携などの動きが活発であり、会社法の基礎知識も求められています。国民の生命や健康に関わることから、高い倫理観を持つことが必要です。
企業内弁護士採用の歴史は浅い業界ですが、知的財産・コンプライアンス関連を中心に法的知見の必要性が高まっており、今後も企業内弁護士の採用は増加すると思われます。
銀行・保険
特色ある業務
- 契約書類のチェック
- 与信・受信業務に係る紛争案件の管理・処理
- 約款解釈や不正請求対応など、保険契約に関する紛争処理や問題解決業務
- 金融庁対応や業界における保険判例研究など、業界特有の法的課題に関する業務
要求される能力
- 規制緩和やIT技術の進歩に伴う新たな業務に対する専門知識と創造力
- 保険法や保険業法の高度な理解と保険商品に関する幅広い知識
- 企業倫理と営利追及のバランスを考慮した判断能力や諸利益の調整能力
銀行業界では、銀行業務について多くの先例や慣行があり、それらに対する専門性が要求されます。そのうえで、近年は規制緩和やIT技術の発展により新商品の開発が容易になっているため、新たに発生しうるリスクの管理能力なども求められます。
保険業界では、配属される部門に応じて予防法務(契約審査・募集スキームの構築)、臨床法務(保険金支払いに関する紛争処理)などの業務を行います。保険法・保険業法のみならず、保険実務全般に関する理解が不可欠です。
投資サービス
特色ある業務
- 幅広い契約書類の作成・審査業務
- 新しいスキームの構築や戦略法務的な業務
- 法改正に対応した社内規定の策定や社内研修の実施
- 金融庁や自主規制団体との折衝業務
要求される能力
- 金融技術と規制の変化に積極的に対応する積極的な姿勢
- 協働能力やコミュニケーション能力
- 金融経済や会計、語学に関する知識
投資銀行・証券会社といった投資サービス業界では、近年は法務部門だけでなく、M&A関連部署や投資顧問などの現場に近い部署に配属される例も増えています。
金融商品取引法や関連法規の改正が頻繁に行われるため、勉強が必須です。また保険業界と同様に金融の実務知識も要求され、専門性を高めるうえではアナリストやFPなどの資格取得も奨励されています。
総合商社
特色ある業務
- 相談対応・契約審査・交渉サポートなど、多岐に渡るビジネス領域に対応する業務
- 子会社や関連会社のガバナンス・コンプライアンス・労務管理などの業務
- 法改正に対応する内容調査と対応準備
要求される能力
- オールマイティな法的問題発見・整理能力、地道な調査能力
- 多様な関係者との円滑なコミュニケーション能力
- 英語力や海外ビジネスに関する基礎知識、経済法やファイナンスに関する知識
- M&A案件に対応するための民商法・金商法・独禁法などの法律知識
商社では、企業内弁護士の配属は法務部門に集中しています。海外駐在は稀であり、基本的に本社の法務部門に集中配属されるのが特徴といえます。
主たる業務は社内の相談対応・契約書等の作成チェックであり、またこれらを英語で行う機会が多くあります。
他業界と比べて弁護士資格保持者の数が多く、また日本の弁護士資格ではなく海外の弁護士資格を持つ弁護士も多くいるのが特徴的です。
情報/通信
特色ある業務
- 新規インターネットビジネスおよび映像・音楽配信ビジネスのビジネスモデルや契約スキーム策定
- 官庁対応や事業者団体によるガイドライン策定への参加
- 通信事業者間の紛争や情報削除・発信者情報開示請求への対応など、特有の法的支援
要求される能力
- コンプライアンスや法的リスクとビジネスメリットのバランスを考慮した判断力
- 多様な当事者との調整能力や国際契約の取扱い、更には英語力と英米法の知識
- IT技術と法律技術双方において日々情報を更新し続けるインプット能力
通信業界では、通信の秘密や情報セキュリティに係る法分野の専門知識が必要となります。さらに、IT技術の発展に伴い誕生したサイバー法とも呼ばれる先端的な法分野について、業界ガイドラインの形成にも寄与する立場となります。
ネットサービス関連の企業では、IT技術の発展に伴い新規サービスが次々と生み出されている一方で、著作権侵害や名誉毀損などの法的リスクも生じています。損害が拡大する前にスピーディーに対処するために、IT技術と法律技術双方において日々情報を更新し続けることが求められます。
最新動向は転職エージェントで情報収集するのがおすすめ
この記事では、「企業内弁護士の仕事内容」に注目し、弁護士需要のある業界の分析と業界別の仕事内容について解説しました。
企業内弁護士といっても業界によってその仕事内容には違いがあり、転職を考える際には
- 企業内弁護士の採用動向
- 自身の業界適性
- 社会情勢
- 各業界・企業の成熟度
など、様々な観点から自身に合う業界・企業を見つけることが大切です。
これらの情報を集めるのに最適な手段として、「転職エージェント」があります。
転職エージェントは業界や企業の内情に詳しく、また転職支援の経験に基づいてあなたの希望やニーズにあった情報を提供してくれます。
企業内弁護士採用の最新動向についてキャッチアップし、更に自身の適性を分析することで、理想的な転職先を見つけられる可能性が大きく高まります。
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