SIerはやめとけ!?業界の実態ややめとけと言われる理由を徹底解説
SIerについて調べていると「SIer やめとけ」と出てきて気になってしまった方はいませんか?「やめとけ」というキーワードを見てしまうと不安になる方も多いでしょう。
そこで本記事では、SIerがやめとけと言われる理由や実態、業界の将来性などを解説していきます。
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目次
SIerはやめとけと言われている理由
SIerはやめとけと言われている理由は主にこの3つが挙げられます。
SIerがやめとけと言われる理由
- 客先常駐の企業がある
- 残業時間が多く給与に合わない場合がある
- エンジニアとしてのスキルが身につきにくい
客先常駐の企業がある
客先常駐とは、所属会社から派遣でクライアントの企業や現場に出向いて働く働き方を指します。
2021年に行った情報産業労働組合連合会の調査によると、IT企業のおよそ80%が客先常駐を行っていることが分かりました。
客先常駐だと居場所がなかったり、企業によって勤務時間や社内の規則が異なることがデメリットとして挙げられます。
SIer企業の中でも特に、上流から下流までの幅広い業務に携わる独立系SIerや中小企業は客先常駐が多い傾向です。
SIerは顧客とのコミュニケーションが業務を行う上で重要ですが、客先常駐であれば顧客との密なコミュニケーションが取れ、クライアントの意見を理解しやすかったりトラブルにすぐに対応できたりなどメリットも多いです。
また、SIer業務はB to Bであることが多いため、客先常駐で密なコミュニケーションが取れると次の依頼に繋がることも多くあります。
クライアントは複数社の提案を比較すること(コンペ)も多くあり、その際にも客先常駐で培った人脈や信頼が役に立つ場合もあります。
それでも客先常駐に不安がある方もいると思いますが、全てのSIer企業が客先常駐ではありませんし、客先常駐を行っている企業も全員が客先常駐を行うわけではありません。
また、ユーザー系SIerや大手SIer企業であれば客先常駐はほとんどないため客先常駐に心配のある方でも安心です。
企業によっては残業時間が多く給与に合わない場合がある
SIer企業は以下の図のような多重下請け構造になっています。
下請けになればなるほど仲介の引き抜きがあるため、給与は少なくなる傾向があります。
また、納期に関しても下請けになればなるほど短く、タイトなスケジュールになりがちです。
タイトなスケジュールにより「長時間労働にも関わらず薄給である」という企業が存在するため、時々「SIer業界はブラックである」と言われることもあります。
昔は、「SEの7K」(※)という言葉もあるほどSIer業界はブラックであると言われていましたが、SIer企業の全てがブラック企業ではありません。
実際、現在の就職先人気企業にもKDDIやNTTデータ、NECなどのSIer企業がランクインしていることもあるのでSIer=ブラックとは決めつけられないでしょう。
現在のSIerの年収や残業時間など業界の実態についてはこの記事の下で詳しく解説しています。
(※)SEの7Kとは:SE業務の辛さを表す言葉で「給与が安い」「休暇が取れない」などの頭文字を取って7Kと呼ばれている。
エンジニアとしてのスキルが身につきにくい
SIerの業務は要件定義から保守運用まで幅広く、業務の内容もコードを書くだけではありません。
SIerの業務の流れは以下の通りです。
実際の業務では担当する工程や企業規模によってはコードを書くよりも、顧客や仲間とのコミュニケーション、スケジュール管理などのマネジメント能力が求められます。
そのため、プログラミングスキルを重点的に伸ばすことは難しいでしょう。
SIerと聞くと「コードを書く」というイメージを持っている人が多いため入社後にギャップを感じやすく、やめとけと言われています。
SIerは案件が大規模なことが多く、上流工程を担当する企業であるほどコードを書かない傾向にあります。一方で下流工程を担当する企業であればプログラミングスキルも身に付きやすいです。
企業選びをする際は自分がどんなスキルを身に着けたいのかを明確にすることで入社後にギャップを感じることもなくなるでしょう。
SIer業界の実態
前のセクションでSIerがやめとけと言われている理由について解説しました。
このセクションではSIer業界の実態はどうなのかを給与、残業時間、ワークライフバランスに分けて紹介します。
給与
こちらはSEの年齢別平均年収の表です。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20-24歳 | 341.48万円 |
25-29歳 | 453.91万円 |
30-34歳 | 512.63万円 |
35-39歳 | 597.93万円 |
40-44歳 | 646.9万円 |
45-49歳 | 674.62万円 |
50-54歳 | 679.57万円 |
55-59歳 | 732.17万円 |
厚生労働省の「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によるとSEの平均年収は557.6万円でした。
国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、国内の平均年収は458万円です。
最大で平均年収が732.17万円であることからも業界としての年収は比較的高めであると言えます。
SIerは給与が低いと言われていますが、この結果を見ると「SIer=薄給」とは考えにくいです。
また、SIerはITスキルによっても年収は変化します。
以下がITスキル別の SIerの年収です。
<設計・構築>
ITSSレベル | 平均年収 |
---|---|
ITSSレベル3 | 450〜700万円 |
ITSSレベル4 | 500〜780万円 |
ITSSレベル5以上 | 600〜950万円 |
ITSS(IT Skill Standard)とは、経済産業省が定めているITに関する能力を評価する指標です。
ITSSレベル1~2は最低限の知識を有していることを指し、ITSSレベル3~4になると自らの能力を駆使して、独力で課題の発見や解決を求められます。
ITSSレベル5以上になると企業にハイエンドプレイヤーとして認められた存在となります。
SIerはITスキルが高ければ高い年収を獲得することも可能で、ITSSレベルが5以上であれば年収1000万円も期待できるでしょう。
残業時間
転職サイトGeeklyの調査によるとIT業界全体の平均残業時間は23.2時間でした。
本サイトの他の記事で紹介しているSIer企業30社の残業時間の平均は29.1時間でした。
厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」では、一般労働者の月平均残業時間は13.8時間であることからもSIerの残業時間は平均より多い傾向です。
SIerはプロジェクトの納期により残業時間も左右されるので、スケジュールに余裕があれば残業時間が10時間ほどになります。一方でスケジュールに余裕がない場合は、残業時間も30時間になるなどさまざまで毎月残業時間が多い訳ではありません。
ワークライフバランス
SIerはワークライフバランスが取りやすい業界です。
残業時間こそ平均と比べると多いですが、IT業界はテレワーク実施率が56.3%と全業界の中でもトップクラスです。
テレワークが可能なことから通勤時間に割く時間がないため、残業時間が多くてもプライベートは充実させやすいです。
また、厚生労働省の調査によるとIT業界の有給取得率は「60%以上~80%以下」の企業が最も多く45%となっていて、取得率がそれより高い企業と合わせると全体の52%という結果になっています。
国内の企業の有給取得率の平均は58.3%であることからも、有給取得率は比較的高めであると言えるでしょう。
SIerにおすすめの転職エージェント / サイト
- 2023年オリコン顧客満足度の転職エージェント部門で、No.1を獲得
- マイナビIT AGENTにしかない「独占求人」が多数存在
- 未経験者向けの求人も多数
SIer業界の今後
転職を考える際に検討するべきことのひとつに『その業界の将来性』があります。
SIer業界の将来性をみていくと、市場規模は近年も成長を続けています。IT専門調査会社「IDC Japan」の予測によれば、2021年以降にはSIの案件の再開などにより、設計・構築セグメントの2020年から2025年の年平均成長率は3.0%になる見込みです。
また、総務省の「2021年情報通信業基本調査」では、SI業界が属する「情報サービス業」の2020年での市場規模は、18兆7,928億円でした。内訳は、SIerがメインで行う「受託開発ソフトウェア業」が8兆7,673億円と約半分を占め、次いで「情報処理サービス業」が4兆5,805億円という結果です。
これらのデータからも今後もSIer業界も成長を続ける業界であることは自明です。
また、DX需要が拡大している点や、官公庁・金融機関などから大型案件を定期的に発注される点などから今後も求められる業界であることは間違いないでしょう。
また、近年の労働人口減少により企業ではITの活用やDXが必要不可欠となっています。IT人材の需要が急速に高まっており、IT業界は人材不足が続いています。コロナ禍以降未経験者の採用枠を増加している企業も多く、転職をするにはおすすめの業界と言えます。
SIerとして活躍する上で必要なスキル
先述した通り、SIerは将来性があり今後も需要の高い業界です。
しかし、人気な業界でもあるため今後も活躍するにはスキルアップが必要でしょう。以下が今後もSIerとして活躍する上で必要なスキルです。
SIerとして活躍するために必要なスキル
- 資格の取得
- コミュニケーション能力
- 論理的思考力
資格の取得
SIer企業で働く上で必ず必要な資格はありません。
ですが、ITスキルを証明する資格を持っていることで転職活動を有利に進められます。また、入社してからのキャリアアップが有利になったり、企業によっては資格手当がもらえたりと資格は入社後も役立ちます。
経験者におすすめの資格は、応用技術者試験やプロジェクトマネージャー試験が挙げられます。
自身のITスキルや今後のキャリアパスをより明確にする資格で面接時や入社後にキャリアアップしやすくなるでしょう。
一方で未経験者の場合、基本的なITスキルを持っていることを証明するためにも基本情報技術者試験、ITパスポート試験、マイクロソフトオフィススペシャリストなどの習得がおすすめです。
資格 | 勉強時間(未経験者の場合) | ITSSレベル |
---|---|---|
ITパスポート試験 | 100~150時間 | ITSSレベル1 |
基本情報技術者試験 | 200時間 | ITSSレベル2 |
応用情報技術者試験 | 500時間 | ITSSレベル3 |
高度試験 | 100~200時間 (応用技術者試験合格レベルの場合) | ITSSレベル4 |
コミュニケーション能力
SIerの業務において、コミュニケーション能力が最も重要であると言われています。SIerは企画の立案から保守・運用まで行いますが、その中でクライアントと何度もコミュニケーションを取る必要があるからです。
SIerの特徴として大規模な案件に携われる事が挙げられますが、大規模な案件には多くの要員が必要です。
クライアントだけでなく、チーム内でもシステムについて話し合う必要があり、SIerの業務においてコミュニケーション能力は極めて重要と言えます。
論理的思考力
論理的思考力とは、複雑な物事の関係を整理し、筋道を立てる能力です。
SIerの業務では、企画の立案・要件定義・設計工程において論理的思考力が必要とされます。
例えば、企画の立案の際に論理的思考力がないとクライアントの課題を特定する事ができず、システムを構築する際にクライアントのニーズに応えられない可能性があります。
SIerは大型の案件に携わる事が多いため、論理的思考力の欠如で大きなトラブルを招く場合があり、SIer業務において論理的思考力は必須のスキルとも言えます。
論理的思考力は物事を深く追求したり、問題を頭で整理することで鍛えられるため普段の業務でも視点を変えてみることで身につける事ができるでしょう。
また、論理的思考について取り扱うサイトや本もあるので手にとってみるのもおすすめです。
優良企業に転職するための企業選びのコツ
SIerは企業によって給与や残業時間、福利厚生もさまざまです。
SIer企業に転職する際は以下のポイントを意識して企業を選ぶことをおすすめします。
企業選びのポイント
- 企業の規模を知る
- 自分のキャリアプランを明確にする
- 転職エージェントを利用する
企業の規模を知る
SIer業界は多重下請け構造になっているため、企業の規模を知ることはとても大切です。
例えば、下請け企業になればなるほど納期が短く残業時間が多くなる傾向がある一方で、大企業であると上流工程に携わる事が多いためプログラミングスキルは身につきにくいです。
また、独立系SIer企業は客先常駐が多く、ユーザー系SIerは少ない傾向にあります。
このように企業が何系SIerなのか、企業の立ち位置はどの辺りなのかなど企業の規模や特徴を知ることで入社後のミスマッチを防ぐ事ができます。
自分のキャリアを明確にする
転職活動を行う上で、今後のキャリアプランを明確にすることも重要です。
例えば、プログラマーになりたい場合とPM(プロジェクトマネージャー)になりたい場合では必要なスキルが異なります。
プログラマーになりたい場合は下流工程を行う企業で専門性を高める必要があり、PMの場合は上流工程を担当する企業でマネジメントスキルを磨く必要があります。
「自分がどんな人になりたいのか」や「どんな業務を行いたいのか」を明確にし、企業選びを行いましょう。
転職エージェントを利用する
先述した通り、SIerに転職する上で企業の情報を集めることがとても重要です。しかし、自力で企業の情報を集めるには限度があります。そんな時こそ、転職エージェントの利用がおすすめです。
実際にエージェントに相談することで、自分が知らなかった企業と出会えたり、企業の詳細な情報を知ることができます。また、エージェントに相談することで自分の強みや希望の条件に合う企業を紹介してくれます。
SIerにおすすめの転職エージェント / サイト
- 2023年オリコン顧客満足度の転職エージェント部門で、No.1を獲得
- マイナビIT AGENTにしかない「独占求人」が多数存在
- 未経験者向けの求人も多数
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SIerに向いている人の特徴
SIerに向いている人の特徴は以下の通りです。
SIerに向いている人の特徴
- コミュニケーションを取るのが得意 / 好きな人
- 個人ワークよりもチームでの仕事が好きな人
- さまざまな企業と連携しながら働きたい人
- 長期的な計画を立てて実行できる人
SIerは、さまざまな業界の企業と関わり大規模なシステムを構築する事ができるのが大きな特徴です。多くの人や企業を巻き込んでシステムを作っていくのでやりがいも達成感も大きいでしょう。
大規模なシステムの構築には多くの要因が必要ですし、企業の課題を特定し解決するには、ヒアリングを何度も行う必要があります。そのため、チームや企業とのコミュニケーションは非常に重要です。
実際に、「業務の中でプログラミングスキルtよりもコミュニケーションに苦戦した」というSIerの方もいます。
また、大規模なプロジェクトであるからこそプロジェクトを円滑に進めるためには長期的な計画をし、計画通りに進める必要があります。
これらの特徴に該当する人はSIerに向いていると言えます。
しかし、企業によって求められる能力は異なるため、上記の特徴が全てのSIer企業に当てはまるわけではありません。また、これらのスキルは先天的なものではなく学ぶことで伸ばす事ができるスキルです。
客観的に見て自分がSIerに向いているのか分からないという方は、転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
アドバイザーがあなたの強みを引き出し、条件に合う企業を紹介してくれます。
SIerに転職してみよう
今回は、SIerがやめとけと言われる理由や現状、今後など転職をする際に不安に感じる部分を解説しました。
昔は「SEの7K」という言葉もあるほどSIer業界はブラックであると言われていましたが、現在では環境も改善され将来性もあり人気の業界です。
また、給与が低いと言われているSIer業界ですが、平均以上の年収でありITスキルによっては年収1,000万円を目指すことできます。
SIerの優良企業に転職するには自分のキャリアプランを明確にし、企業についてリサーチをすることが重要です。
しかし、情報収集や自己分析、企業への応募など全てを自分で行うには限度があります。
そのため、転職活動を行う際には豊富なサポートを受けることができる転職エージェントを利用してみましょう。
転職エージェントを利用することで企業の情報や客観的に見たあなたの強み、条件に合う企業を紹介してくれます。
ほとんどの転職エージェントは無料で利用することができるため一度登録してみることをおすすめします。
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